3冠王M・カブレラ チャベス大統領にささげるアーチ

[ 2013年3月7日 06:00 ]

<ベネズエラ・マーリンズ>本塁打を放ち、袖に喪章を着けたA・カブレラの出迎えを受けるM・カブレラ(左)

練習試合 ベネズエラ5―6マーリンズ

(3月5日 ジュピター)
 WBCベネズエラ代表のミゲル・カブレラ内野手(29=タイガース)が5日(日本時間6日)、米フロリダ州ジュピターで行われたマーリンズとの練習試合で、1本塁打を含む3安打4打点。昨季、大リーグで45年ぶりの3冠王を獲得した現役最強打者が、同日に死去したウゴ・チャベス大統領(享年58)に哀悼の一発をささげた。また、米国など1次ラウンドC、D組の他7カ国も大リーグ球団と練習試合を行った。

 フルスイングとともに、左袖の喪章がなびいた。7回、M・カブレラが左翼ポール際に飛び込むアーチを架けた。

 「集中するのは難しかったが、勝たなければならなかった。これは国との約束だった」

 試合前、がんで闘病中だったチャベス大統領の訃報がもたらされた。ナインは一様に動揺。M・カブレラも例外ではなかった。昨年、3冠王を獲得した際は、すでに病に伏していたチャベス氏からツイッターを通じて「ブラボー、ミゲル!ブラボー、ベネズエラ!」と祝福の言葉を贈られた。

 試合後「彼はもういない。こんな悲しいことはない」と沈痛な表情を浮かべた。3大会連続で指揮を執るルイス・ソーホー監督も「彼は野球人だった」としのんだ。

 野球を心底愛していた故人への最高の供養は、優勝しかない。大統領の死にさらなる結束を誓い、頂点に臨む。

 ▽ウゴ・チャベス大統領 豊富な石油資源を背景に「21世紀の社会主義」を掲げ、貧困層の圧倒的支持を受け、99年に大統領に就任。反米路線の急先ぽうで知られた、06年の国連総会ではブッシュ米大統領(当時)を「悪魔」と非難した。キューバのフィデル・カストロ前国家評議会議長とは盟友関係にあり、ともに野球好きとあって過去には親善試合で親交を深めた。09年4月に訪日した際には、第2回WBCで連覇を果たした日本の麻生首相(当時)を祝福。野球談議にも花を咲かせ、4年後の今大会に向けて「次は勝つ」と優勝宣言する一幕も。

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2013年3月7日のニュース