【二所ノ関親方 春場所展望】新大関が1強横綱に待ったかけるか 琴ノ若挑める照の壁

[ 2024年3月10日 05:00 ]

初場所千秋楽で琴ノ若(右)を寄り切りで下し優勝を決めた照ノ富士
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 大相撲春場所はきょう10日にエディオンアリーナ大阪で初日を迎える。琴ノ若(26=佐渡ケ嶽部屋)が大関に昇進し、21年名古屋場所以来2年半ぶりの1横綱4大関。上位が充実するなか、本紙評論家の二所ノ関親方(元横綱・稀勢の里)は2桁優勝を目指す横綱・照ノ富士(32=伊勢ケ浜部屋)中心の優勝争いになると予想した。9日は土俵祭りが行われ、八角理事長(元横綱・北勝海)らが15日間の安全を祈願した。

 新大関が誕生し、1横綱4大関時代が到来しました。1横綱1大関だった1年前とは違って上位も充実。ここ最近の傾向通り、春場所も上位による優勝争いとなりそうです。

 初場所の照ノ富士を見て、改めて大関以下との差はあるなと感じました。対抗馬不在と思わせる強さ。優勝決定戦でも自信満々に取っているのが印象的でした。若い頃は力があり余って多少強引でも勝てる、勢いでいけた面もありました。今は膝に不安を抱え、万全でないからこそ、いろいろ考え抜いてコンパクトに取るバリエーションが増えました。現状を理解し、どう取るべきか考えることができています。霧島、豊昇龍、琴ノ若には一度も負けていない。今の勢力図を象徴する「現実」です。

 唯一の不安は春場所特有の天候でしょう。花粉症だったり、寒暖の差が激しい季節。体調管理が難しく、膝にも影響が出るようだと大関陣の出番です。霧島は二所ノ関の連合稽古で琴ノ若といい稽古ができていました。さばきのうまさに加えて稽古を見て感じたことは、右でも左でもまわしを切れる希有(けう)な能力を有していること。普通は左か右のいずれかですが、両方完成度が高かったのは驚きました。琴ノ若の肩越しの上手は全部切られていたので、強くなる人はこういう相撲を取るんだと痛感しました。

 新大関はあいさつ回りやイベント参加など場所前はなかなか落ち着かないことが多いですが、琴ノ若はしっかりと稽古は積んでいる様子。最近の充実ぶりは素晴らしいものがありますし、期待はできそうです。長所といえば真っ先に体の柔らかさが思い浮かびますが、連合の稽古では相手の体圧をうまく分散させていた動きが目立ちました。当たった時の位置がいいからできる芸当です。

 貴景勝は首のケガは厄介ですが、数々の修羅場をクリアした経験値は武器になるはず。出てくる以上はそれなりに結果を残してくれると信じます。豊昇龍を含めた上位5人による優勝争い。ハイレベルな成績を期待します。(元横綱・稀勢の里)

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