貴景勝13場所ぶり3度目V「結婚して初だったのでうれしい」 一人大関の責任果たした!さあ綱取りへ

[ 2023年1月23日 04:45 ]

大相撲初場所 千秋楽 ( 2023年1月22日    両国国技館 )

優勝パレードで手を振る貴景勝。旗持ちは隆の勝(撮影・藤山 由理)
Photo By スポニチ

 埼玉栄高出身同士の相星決戦は、大関・貴景勝が3年後輩の琴勝峰を下し、20年11月場所以来13場所ぶり3度目の優勝を果たした。11日目からの連敗で後退したが、13日目に阿武咲を下して首位に並び平幕の4場所連続優勝を阻止した。125年ぶりの1横綱、1大関となった本場所で横綱・照ノ富士が休場するなか、一人大関の責任を果たし、20年に結婚した有希奈夫人の父で元大関・北天佑(故人)の優勝回数を超えた。春場所(3月12日初日、エディオンアリーナ大阪)は地元・大阪で綱獲りを目指す。

 長く苦しい道のりを経て2年ぶりに抱いた賜杯は格別だった。「結婚してから初めての優勝だったので、凄いうれしいです」。心の底から叫んだ貴景勝の声が館内に響くと、満員の観衆から割れんばかりの歓声が上がった。一人大関の重圧から解放され、家族らに感謝の言葉を述べると「義理の父親の北天佑関の優勝回数を超えられたので凄くうれしいです」と続けて感極まり、目頭を熱くさせた。

 埼玉栄高の3学年後輩、琴勝峰との相星決戦。相手は平幕。受けて立つ身には想像を絶する重圧がのしかかったが「いろんな人の支えがあっても土俵では自分が戦うしかない。気合入れて最後集中しようと思いました」。激しいぶちかましから先制し、相手の懐に入る。圧をかけながら豪快に左からすくって1メートル89の巨体を投げ捨てた。

 21年夏に首を痛め、思うような相撲を取れなくなった。調整ミスで序盤でつまずき、優勝にはあと一歩届かない状況が続いた。それでも懸命のケアで治療を行い、勝負に臨む姿勢を一から築き直した。日頃から「準備」という言葉をよく口にする。勝負で自分の力をいかに発揮できるか。取組が終わって翌日の取組までを準備期間とし、体のケアと相手の研究などに時間を費やした。

 場所前は突き押し対策を徹底し、冬巡業では阿炎を指名するなどテーマを持って取り組んでいた。これまで出足の強化に特化してきたが、最近はさまざまなパターンを想定した稽古で相撲の幅を広げている。申し合いでも10番取ったら、すべて違う立ち合いを試み、ぶちかましてからの二の矢の攻めも工夫。この日のすくい投げや10日目の明生戦で見せた小手投げは、その成果。師匠の常盤山親方(元小結・隆三杉)は「この2年間で成長できたところ」と評価する。

 地元に凱旋する春場所は綱獲りに挑戦する。「まだまだ謙虚に。明日から稽古はもちろん、ケアの仕方も謙虚になって頑張っていきたい」。人間一人では強くなれないことを痛感した26歳の目の前には、横綱昇進という恩返しのレールが敷かれた。

 ◇貴景勝 光信(たかけいしょう・みつのぶ=本名・佐藤貴信)1996年(平8)8月5日生まれ、兵庫県芦屋市出身の26歳。中学3年で中学横綱。埼玉栄高3年の14年秋場所に貴乃花部屋から初土俵を踏む。17年初場所で新入幕を果たし19年初場所で新関脇。同年春場所後に大関昇進した。在位2場所で転落し1場所で復帰。18年10月に千賀ノ浦部屋(現常盤山部屋)に移籍。優勝3回。殊勲賞3回、敢闘賞2回、技能賞2回。得意は突き、押し。1メートル75、165キロ。

 ▼八角理事長(元横綱・北勝海)貴景勝は前に出たのがつながった。大関一人でずっと15日間、結びを務めた。今までで一番価値がある優勝。最高の評価でしょう。簡単にはいかない中でよくやった。責任を果たした。褒めていい。

続きを表示

この記事のフォト

2023年1月23日のニュース