【元横綱稀勢の里コラム】年末年始の調整が難しい 初場所初日へ向けて“曜日の感覚”忘れないことが大事

[ 2023年1月4日 07:00 ]

17年の初場所で初優勝し、賜杯を受け取る稀勢の里
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 新年明けましておめでとうございます。茨城県の阿見町に部屋を構えて初めて年を越しました。おかげさまで部屋所属力士の昨年勝率は57%を超え、鳴戸部屋と並んでトップの成績だったと聞いています。幕下以下の力士たちですが、よく頑張ったと思います。

 今年は、所属力士全員の最高位を上げることを目標にします。幕下は十両に、三段目は幕下に昇進。最低でも1段は上げたいですね。コロナが終息すれば、相撲教室を早くやってみたいですね。大勢の子供たちと稽古するのは楽しみですし、相撲普及の原点です。

 初場所は日程面で調整が難しいとされています。力士は番付発表日から逆算して場所の初日に合わせて仕上げていきます。初場所は年末年始をまたぐため番付発表が通常の2週間前より前倒しされたり、正月休みもある。曜日の感覚が分からなくなるのもこの時期ならでは、です。初場所初日は8日。元日が日曜日なので新年を迎えると、あと1週間のカウントダウンが始まります。私が初優勝した17年初場所も初日が今年と同じ1月8日。ノートにしっかりと曜日を記し、感覚が鈍らないようにしました。元日には「もう場所1週間前だから、正月は1日だけ。初場所が終わったら正月になるようみんなで頑張るように」とあいさつし、弟子には「きょうは何曜日だ?」と問いかけ、場所までの日数などを把握させています。

 「寒さ」との闘いも調整の重要なポイントになります。私が初めて休場したのは14年初場所。千秋楽を休場しました。寒くて熱っぽかったのもありましたが、14日目に体温が39度くらいまで上がって眠れず、関節が緩んで外れてしまった。自分の経験からも体調管理は難しかったですね。

 先代師匠(元横綱・隆の里)の時代は年末は12月31日まで稽古があり、正月だけ休んで2日が稽古始めでした。当時から31日は休んでいる部屋も多くあったと思いますが、みんなが休んでいるときに稽古していることを前向きにとらえ、自信につなげていました。

 元日もゆっくりできない鳴戸部屋に長くいて、一度だけ1月2日が休みだったことがありました。兄弟子が前日に情報を入手してきたときは最初は「何言ってんだ」と誰も信じなかった。実際に休みと分かった、そのときの歓喜はすごかったです。みんな場所の成績も良かったし、お年玉もらったようでしたね(笑い)。本年も二所ノ関部屋をよろしくお願いします。(元横綱・稀勢の里)

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2023年1月4日のニュース