大栄翔 母の「白星ちょうだい」に感謝届けた、2場所連続横綱・照ノ富士撃破

[ 2022年5月9日 05:30 ]

大相撲夏場所初日 ( 2022年5月8日    両国国技館 )

大栄翔(左)が押し出しで照ノ富士を破る
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 観客数の上限が約87%に緩和され、多くの観衆に見守られながら初日を迎えた。小結に復帰した大栄翔(28=追手風部屋)が結びで横綱・照ノ富士(30=伊勢ケ浜部屋)を押し出し、2場所連続で横綱を撃破した。

 大関の正代(30=時津風部屋)と貴景勝(25=常盤山部屋)は黒星発進。先場所優勝の若隆景(27=荒汐部屋)は力強い相撲で北勝富士(29=八角部屋)を寄り切った。

 鋭い立ち合いから一直線の攻めで完勝しても大栄翔に慢心はなかった。土俵際で左脇が開いて右を差された。「出るしかなかったので(勝ったのは)良かったけど、あれはなくしていきたい」。場所前には「三役定着と考えていたらダメなので上を目指す」と向上心を口にしていた。小結に復帰した初日に横綱を破っても反省の言葉が出たのはその表れだ。

 3月に日大大学院を卒業した。ファミリービジネスを専攻し、不慣れなパソコン操作に苦戦しながらも「相撲界の継承発展」をテーマに1万字超の修士論文を執筆。晴れて「大学院卒力士」となり「学びを生かして、より一層相撲に集中する」と意気込んで臨んだ初日だった。

 母の日に最高のプレゼントにもなった。毎年必ず花を贈っており、今年はそこに殊勲の星も追加。「感謝してますので、今日は本当に良かった」と頬を緩めた。女手一つで育てた母・高西恵美子さんは「白星ちょうだいと思っていたからうれしい」と孝行息子の活躍を喜んだ。「昔は勉強が苦手だったのに大学院まで卒業するなんて。やると口にした以上やり通す芯の強い子だからかな」と、学業にも意欲的に取り組んだ心身の成長を称えた。

 直近5場所で3勝と照ノ富士キラーの呼び声も高いが「挑戦する気持ちでいくだけなので」と謙虚な気持ちは変わらない。1横綱2大関が敗れる波乱の初日を演出した28歳は「今場所は最低でも勝ち越し。そこから積み重ねていきたい」と貪欲に高みを目指していく。

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