送りつり出し!宇良また“珍”ウラ技 幕内16年ぶり決まり手に「1個増えましたね」

[ 2021年9月17日 05:30 ]

大相撲秋場所5日目 ( 2021年9月16日    両国国技館 )

大栄翔(右)を送りつり出しで破る宇良
Photo By 共同

 返り入幕2場所目の宇良が、大栄翔を送りつり出しの大技で破った。幕内では16年ぶりの決まり手で業師復活を印象づけ、東前頭4枚目の自己最高位更新へ前進した。新横綱・照ノ富士は霧馬山を寄り切って5戦全勝とし、勝ちっ放しは平幕・千代の国と2人。1敗で大関・正代、関脇・御嶽海ら6人が追う。

 宇良が目の覚めるような豪快な大技を決めた。相手を後ろから持ち上げて土俵外に出す送りつり出しで、大栄翔を破った。

 幕内では05年九州場所で横綱・朝青龍が安馬(後の横綱・日馬富士)に繰り出して以来16年ぶり。「イメージ通りではないけど、うまく力を出し切れた」と息をついた。

 低い体勢で突き、押しをうまくさばいて、右はずを利かせて押し上げる。すかさず相手の背中に回った。好機到来にも「ちょっと焦った。あそこからの勝負が一番危ない」と慎重になったという。

 脳裏に浮かんだのは、取組前にテレビで見た幕下の一番。後ろについた力士が足を運ぶ際に下半身が崩れて、つき膝で敗れた。「それが頭をよぎったので」とまわしを引かずに相手を抱きかかえて腹に乗せ、競技歴のあるレスリングの投げ技のように体を反らせて初場所の優勝力士を放り投げた。「業師」の対極にある力感を土俵に表現し「(技が)1個増えましたね」と会心の笑顔だ。

 「何かしてくれるという期待がある」。八角理事長(元横綱・北勝海)は個性派の復活を喜ぶ。先場所は21場所ぶりの幕内で10勝と、4年ぶりに勝ち越した。両膝のケガで序二段へ陥落する前の自己最高位・東前頭4枚目が目前。それは力士にとっての栄誉、結びの一番出場へと前進することを示している。

 ▽送りつり出し 2000年12月に新たな決まり手として追加された12手のひとつ。正面で抱え上げるつり出しとは逆で、相手の後ろに回ってつり上げて土俵の外に出す。幕内では宇良のほかに、04年秋場所11日目に琴欧州が普天王に、05年九州場所10日目に朝青龍が安馬にそれぞれ決めた。

 ▽宇良の決まり手 7場所目の幕内で、現在82ある決まり手から繰り出したのは押し出し、送り出し、寄り切り、すくい投げ、肩透かし、切り返し、足取り、引き落とし、とったり、はたき込み、突き落としに次いで今回の送りつり出しで12種類目。

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2021年9月17日のニュース