ラグビー教室って、若手社員が開いちゃダメ?クボタ岸岡智樹の情熱チャレンジ

[ 2021年6月14日 11:30 ]

クボタのSO岸岡智樹
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 ラガーマンの新しいカタチに挑む選手が現れた。クボタのSO岸岡智樹(23)だ。今月から9月までの4カ月間、全国8カ所でラグビー教室を開催する。プロではない社員選手、しかも2年目のフレッシュな人材が、自ら企画立案をして教えるケースは、聞いたことがない。本人は、現役選手だからこそ価値があると、行動に出た。

 「以前はラグビー情報を取得する手段がなかったが、今は違う。(インターネットを通じて)技術や戦術の知識を得られ、“ラグビーオタク”になれるきっかけがある。情報が誰でも得られる時代なので、どんなことを言っているかよりも、誰が言っているかが大事だと思う。憧れの選手が言えば、同じ内容でも伝わり方が違う。現役選手の価値は、そこにあると思う」

 ラグビー教室では、「小4から中3までの部」と、「高校・大学の部」の2部に分けて指導をする。参加費は1人2500円(保険料込み)。申し込み方法や日程などの詳細は、東海大仰星高と早大で日本一になった頭脳派司令塔の「note」(https://note.com/so_kishi10)を参照にしていただきたい。ここでは、レッスン内容がパス、キック、判断力といった基本的な「スキル」にこだわっていることに、触れたい。

 今季4強のクボタには、世界的な名選手が揃っていた。名将のフラン・ルディケ(53=南アフリカ)もいる。岸岡は世界のスタンダードに触れたことで、基礎基本の大切さを再認識させられた。

 「例えば、パスのミスが起きる。(ライアン)クロッティ(※ニュージーランド代表48キャップのバックス)は、ハンズアップしようね、とか、フォロースルーができていなかったねと、すぐに指摘をするんです」

 技術が上がれば上がるほどおろそかになりがちな「当たり前のこと」にこそ、世界のトップは重きを置いている。それを伝えるのが、今回のラグビー教室なのだ。

 「できないことをできるようにするためには、意識をしないとできないし、できるようになれば無意識でできていることになる。無意識でできるレベルに持っていくことで、重圧がかかる場面でも技術を発揮できるのですが、今回はあえて無意識にしている技術を、意識して取り組む内容にしたい。おろそかになりがちなことを、現役選手が改めて伝えることで、これって大事なんだと気付かせられると思います」

 スポンサーを集め、大学時代から積極的なSNSなどで情報発信をし、スタッフの協力を得てラグビー教室を運営する様子は、さながら事業を立ち上げをしているようだ。自らマネジメントすることで、引退後の会社員生活にもプラスになると考えている。入社1年目の昨年から、会社の理解を得てラグビー教室を手がける。オフシーズンに、それも会社が休みの土日を返上して、ビジネススキルを養っているのだ。23年まで継続して全国でレッスンをし、ラグビー界に顕著な地域差を、「少しでも埋められれば」という思いも持っている。

 陸上男子100メートルで日本人初の9秒台を出した桐生祥秀(25=日本生命)も、様々なアクションを起こしているアスリートだ。オンラインで走力アップのレッスンをし、SNSでファンと交流する。

 根底にあるのは、現役バリバリの9秒台が持つ影響力だ。「僕が子供の時も、スポーツ選手に会いたいと思っていたし、一緒に練習できたらうれしいと思う」。練習方法、体の使い方、考え方も伝授する。その内容には、もしかしたら、「当たり前のこと」が含まれているかもしれない。しかし、桐生が口にすることで、「それだけ大事なんだ」と子どもたちに伝わるだろう。

 「そんな暇があれば練習をしろ」なんていう声はナンセンス。競技外のことにこれだけ真剣になっている選手たちだから、本業がおろそかなわけがない。トップ選手の現在進行形の取り組みを知れるのは、次世代の選手にとって大きな財産。現役アスリートの声には、成功のヒントが多く詰まっている。(倉世古 洋平)

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