内村決めた!4大会連続五輪、鉄棒でつかんだ自身初種目別金メダルへの挑戦権
体操 全日本種目別選手権最終日 ( 2021年6月6日 群馬・高崎アリーナ )
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キングが夢舞台にたどり着いた。鉄棒の決勝で内村航平(32=ジョイカル)は2位となる15・100点をマーク。種目別の1枠を争った跳馬の米倉英信(24=徳洲会)と選考ポイントで並んだが、タイブレークで上回った。4大会連続出場は1964年東京大会で日本選手団の主将を務めた小野喬以来、体操ニッポンで史上2人目。五輪連覇の個人総合に続く3大会連続金メダルで、新たな伝説を刻む。
ピタリと止めた着地と対照的に、内村の心は激しく揺れていた。「ああ、終わったな。五輪には行けない」。代表入りには、世界2位相当となる14・933点以上が必要。H難度「ブレトシュナイダー」は決めたが、中盤にミスもあって届かないことを覚悟した。運命のスコアは15・100点。場内インタビューでは「もうね、ダメです。これで行っていいだろうかという気持ちが大きい」と苦笑いを浮かべた。
08年北京は無心で代表入り。12年ロンドンと16年リオデジャネイロは実績から国内選考を前に内定していた。「選考のガチバトルは初めてなんでね」。1枠を巡る種目別の代表争い。跳馬の米倉と選考ポイントで並んだが、積み重ねてきた得点の差で東京切符をつかんだ。満足感から程遠い出来が、米倉の元に足を運ばせる。「ホントに申し訳ない」。ライバルへの謝罪は、偽らざる本心だった。
何が明暗を分けたのか。内村は笑った。「運です。運以外ないです。毎回毎回、運を使っているので今後の人生が心配」。4月の全日本でスタートした選考会の計5演技。H難度の大技を投入し、一度でも落下すればアウトの状況で大きなミスなく駆け抜けた。体操を誰よりも愛し、真摯(しんし)に汗を流す日々。その姿勢が五輪の女神を振り向かせ、わずかな違いを生んだ。
深刻な両肩痛を抱えていた19年4月の全日本選手権は、まさかの予選落ち。20年2月、6種目の個人総合と仲間と闘う団体総合への未練を断ち切り、鉄棒に絞ると決断した。「1回、どん底まで落ちた人間って、さらに強くなれるんだなと改めて感じている。鉄棒で代表に入ることを選んだ。選択は間違いじゃなかった」と振り返った。
「人生最大の奇跡」と表現してきた自国開催の夢舞台に向け、さらに難度を上げる構想もある。「今日(6日)の鉄棒で、レジェンドとかキングとか言えない。かなり前向きに捉えると、五輪で完璧な演技を出すための最後の試練。満足いく演技を追求していきたい」。黄金のキャリアに唯一、足りない五輪種目別の金メダル。描く理想を体現した先に、念願のタイトルは待つ。
【内村過去の五輪】
▼08年北京 04年のアテネ五輪で金メダルを獲得した冨田らとともに、団体総合で銀メダルを獲得。個人総合では一時、出場24選手中23位となったが、最終種目の鉄棒で3度の離れ技を成功させて逆転で銀メダル。「信じられない。種目別は1種目だけど、個人総合は6種目やってどうか。体操の世界で2番になれたのは自信になるし、うれしい」
▼12年ロンドン 団体総合では最終種目のあん馬の内村の得点が低く、日本は4位となった。だが、猛抗議の末に修正され、2大会連続の銀メダル。個人総合では全6種目でただ一人、15点以上の高得点を並べ、84年ロス五輪の具志堅幸司以来、28年ぶりの金メダル。「夢かと思いました。やっとここまで来たというか。いろんなものがこみあげた」。種目別の床運動でも銀メダルを獲得。
▼16年リオ 団体総合ではただ一人、全6種目に出場し、日本を12年ぶりの金メダルに導いた。「北京、ロンドンとメダルを獲ってきて一番重たい」と喜びを爆発させた。個人総合は最終種目の鉄棒で逆転して金メダル。五輪連覇、団体、総合との2冠はともに72年ミュンヘン五輪の加藤沢男以来44年ぶりで、「何も出ないところまで出し切って獲れたので、うれしいよりも幸せ」。
◇内村 航平(うちむら・こうへい)1989年(昭64)1月3日生まれ、長崎県出身の32歳。日体大出、コナミスポーツを経て、16年12月からは日本体操界初のプロ選手。個人総合で12年ロンドン、16年リオデジャネイロ両五輪金メダル。団体総合でリオ五輪金メダル。昨年からは種目別鉄棒に専念。1メートル62、52キロ。
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