羽生 来季は前人未到プログラムへ 4回転半加えた“真・天と地と”模索

[ 2021年3月29日 05:30 ]

世界フィギュア男子フリー、演技冒頭で静かに目を閉じる羽生(撮影・小海途 良幹)
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 スウェーデン・ストックホルムでのフィギュアスケート世界選手権で銅メダルを獲得した14年ソチ、18年平昌五輪連覇の羽生結弦(26=ANA)が一夜明けた28日、オンラインで取材に応じた。来季もフリー「天と地と」を継続し、前人未到の大技4回転半を組み込む構想があることを明かした。北京五輪シーズンを究極の演技構成で挑む準備を進める。28日のエキシビションでは、発生から10年が経過した東日本大震災の復興支援ソング「花は咲く」を舞った。

 激闘から一夜明け、羽生には新たな闘志が宿っていた。ジャンプにミスが相次いだフリー「天と地と」で銅メダル。この悔しさが、現役続行を決めた来季への糧となる。「自分の頭の中では、なんですけど」。そう前置きし、青写真を語り始めた。

 「4回転半を“天と地と”に入れたい気持ちがやっぱりある。その気持ちで、このプログラムをつくった。まだ確定ではないですけど、“天と地と”はやりたい。アクセルが入ったら全然、印象が変わる。そういう意味でも、この子を完成させたい気持ちがある」

 五輪連覇、過去2度の世界選手権優勝などタイトルを総なめにしている希代のスケーターが、勝負の銀盤に立ち続ける意味。それが人類初の4回転半成功だ。「対ネーサン(チェン)みたいな分かりやすい構造じゃない」。今大会目指した大技も、出発2日前に回避。勝負に敗れたことよりも、大技を完成できなかったことが悔しい。「アクセルが跳べないと、満足できないので、一生」。挑戦を貫いてきた26歳の本音がのぞいた。

 コロナ禍で拠点のカナダ・トロントに戻るか、国内で練習を続けるかは流動的。ただ「1人で練習していく中で得たものが物凄く大きい」と羽生。自らと極限まで向き合うことで、ジャンプの進化を実感。4回転半も、あと8分の1で回り切れる段階にきた。どんな困難にぶつかっても「自分の知識、経験を生かしながら、乗り越えていかないと」と決意を語った。

 来季は北京五輪が待つが「僕にとって最終目標は五輪で金メダルではなく、あくまでも4回転半を成功させることが一番」と言い切る。「道の上にあれば」という夢舞台は意識せず、来季目指すのは4回転半を携えた至高の「天と地と」だ。「確実にうまくなっているんで、羽生結弦!」。令和の軍神は雌伏の時を経て、勝負の銀盤に舞い戻る。

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