照ノ富士 関脇以下最多3度目V!大関再昇進に花、序二段降格から2年で史上最大カムバック

[ 2021年3月29日 05:30 ]

大相撲春場所千秋楽 ( 2021年3月28日    両国国技館 )

賜盃を手に笑顔の照ノ富士(代表撮影)
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 関脇・照ノ富士が大関・貴景勝を本割で押し出し、12勝3敗で昨年7月場所以来4場所ぶり3度目の優勝を飾った。関脇以下での史上最多優勝回数。三役3場所で計33勝の大関昇進目安を超える計36勝とし、序二段から史上最大のカムバックを完結した。21場所ぶりの大関復帰も、1969年名古屋場所以降では最長。審判部は臨時理事会の招集を八角理事長(元横綱・北勝海)に要請し、夏場所(5月9日初日・両国国技館)番付編成会議が開かれる31日に正式決定する。

 無口な男の優勝インタビューに三たび、館内が笑いに包まれた。

 「優勝は特に意識してなかったが、最後はしてしまった」。狙い通りの土俵か、問われると「相撲って狙った通りにはならないんで」。最後は大関時代との違い。「そんなに変わってないと思いますが…」。大関復帰が事実上、決まった興奮を笑いへと転化した。

 立ち合いは相手右腕を右手で手繰りにいく奇襲を見せた。同じ突き押し、11日目の隆の勝戦でも試みた取り口だが、後退して右かかとが俵についた。ぶちかましを2度耐えると、得意の右差し。小手投げにきた貴景勝をさらに攻める。四つ相撲の元大関が押し相撲の大関に押し勝った。

 「応援がなければ元の道に戻ることはなかった。精いっぱい頑張れば次につながる」。4場所連続全休から序二段で復帰して2年。現行のカド番制度となった69年名古屋場所以降、所要7場所の魁傑を更新し、同20場所での大関復帰だ。復帰した8人の中で優勝で決めたのは初だ。

 3敗目を喫した10日目の志摩ノ海戦後、序二段陥落の一因だった左膝に痛みが出た。夜と翌朝と2度、痛み止めの注射。以降、毎日治療を受けながら13日目から大関3連戦に挑んだ。「自分は病気に勝った。だからもっと自分の体で勝負したい」。多くの力士が本場所後、1週間ほど休む中、筋肉を緩めないために2、3日で稽古に戻る。昨年7月場所で5年ぶりの幕内優勝を果たした後は、連日30番以上の申し合いでブランクを埋めた。伊勢ケ浜部屋で指導する安治川親方(元関脇・安美錦)は「ほぼ休んでいない。今の大関以上のことを毎日やっている。比べものにならない」と称える。

 3年前に結婚したドルジハンド夫人と今年2月に挙式。前回大関昇進時の口上「心技体の充実に努め、さらに上を目指して精進いたします」を今度こそ果たすべく、再びスタートラインに立った。

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