岡崎真氏 羽生得点上積みには4回転アクセル、チェンへ唯一の対抗策

[ 2021年3月29日 05:30 ]

フィギュアスケート世界選手権一夜明け ( 2021年3月28日    スウェーデン・ストックホルム )

世界フィギュア男子フリー、演技冒頭で静かに目を閉じる羽生(撮影・小海途 良幹)
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 【岡崎真の目】羽生とチェンが対決する時はいつも「2人がそろってパーフェクトの演技をしたらどうなるのだろう」と考えてしまうのだが、残念ながら今回もそれは実現しなかった。

 チェンのフリーの演技は文句なしに素晴らしかった。だが、これで打ち止めではなく、まだまだ上積みは可能だ。高難度のルッツとフリップを含め、チェンは5種類の4回転ジャンプを跳ぶことができる。4回転の繰り返しを一番基礎点の低いトーループではなく高難度のルッツを使ったり、3回転の繰り返しもトリプルアクセルにしたりすれば、今回をさらに上回る高得点を得ることができる。

 そうなれば、羽生も何らかの変化が必要になってくるだろう。元々ジャンプの質は十分高いので、これ以上のGOE(出来栄え評価)を得るのは容易なことではない。スピンやステップもレベル4が最高だ。あとは100点満点に近い演技点を出すことだが、すでに90点台を出しているのでやはり上積みには限度がある。そうなると残る選択肢は、過去に跳んだことのある4回転ルッツや成功すれば世界初となる4回転アクセルをプログラムに組み込む以外にはない。羽生はトリプルアクセルが得意なので4回転半も十分に可能だと思うし、そうなってくればさらに高難度の4回転を組み込んできたチェンにも十分対抗できるはずだ。

 女子は表彰台を独占したロシア勢に対抗するには、4回転か3回転半ジャンプが必須条件だ。その意味では今回出た3人はもちろん、出場できなかった樋口新葉らにも期待したい。(ISUテクニカルスペシャリスト、プロコーチ)

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