また女性侮辱…五輪開閉会式演出統括の佐々木宏氏、報道内容認め辞意表明 関係者「森さん発言よりひどい」

[ 2021年3月18日 05:30 ]

(左から)映画監督の山崎貴氏、前任の野村萬斎、佐々木宏氏
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 東京五輪・パラリンピックの開閉会式で演出の総合統括を務めるクリエーティブディレクターの佐々木宏氏(66)が、女性タレント渡辺直美(33)の容姿を侮辱するような演出プランを提案していたと文春オンラインが17日に報じた。佐々木氏は18日未明、報道内容を認める謝罪文を公表し、辞意を表明した。森喜朗前会長(83)の女性蔑視発言による辞任に続いて、大会を象徴する式典のトップが不祥事で交代する異常事態となった。

 森前会長の女性蔑視発言による辞任からわずか1カ月。橋本会長を迎え、ジェンダー平等を掲げて再出発したはずの大会組織委員会で、今度は開閉会式の演出トップによる差別問題が発覚した。

 文春オンラインによると、佐々木氏は昨年3月5日、当時の演出担当チームのメンバーに対し、「ブヒー ブヒー/(宇宙人家族がふりかえると、宇宙人家族が飼っている、ブタ=オリンピッグが、オリの中で興奮している。)」「空から降り立つ、オリンピッグ=渡辺直美さん」などとLINEで演出案を提案。渡辺をブタに変身させるかのような内容に、女性メンバーから「容姿のことをそのように例えるのが気分よくないです」「女性目線からかもしれませんが、理解できません」と批判され、提案を撤回したという。

 電通出身の佐々木氏はテレビCMなどで活躍。五輪関係では、安倍晋三前首相がマリオに扮した16年リオデジャネイロ五輪閉会式のアトラクションや、競泳の池江璃花子が国立競技場からメッセージを発信した昨年7月23日の開幕1年前行事などで演出を担当した。開閉会式の企画・演出は大会の1年延期を受け、狂言師の野村萬斎を総合統括とする7人のチームが昨年12月に解散。迅速に準備を進める必要があるとの理由でチームの一員だった佐々木氏に一本化した体制に変更されていた。

 報道を受けて17日夜に対応した組織委の高谷正哲スポークスパーソンは「事実関係を確認している。事実とすれば不適切であり、大変遺憾に思う」とコメント。組織委関係者からは「女性問題以前に人権問題。厳しい」「事実とすれば(佐々木氏は)続けられないだろう。森さんの発言よりひどいと思う」との声が上がった。橋本会長は国際オリンピック委員会(IOC)委員幹部と協議した。橋本会長は18日に会見して、処遇などを説明する予定だ。

 五輪開幕まで約4カ月。五輪の機運向上が期待され、25日にスタートする聖火リレーにも水を差す不祥事の発覚。開催国の混乱が続いている。

 《女性蔑視発言の森氏後任選びでゴタゴタ》組織委では前会長だった森喜朗氏の女性蔑視発言が記憶に新しい。2月3日、日本オリンピック委員会(JOC)臨時評議員会に出席し「女性がたくさん入っている理事会は時間がかかります」などと発言。大きく報じられて批判を浴びると、森氏は翌4日に会見で謝罪し、発言を撤回。IOCは「この問題は解決した」と声明を出した。

 しかし、ボランティアの辞退者が続出するなど批判の声はやまず、IOCは9日に「完全に不適切」と態度を変えた。森氏は辞意を固め、川淵三郎氏に後任の会長職を打診。川淵氏は意欲を示したが、「密室」の批判を浴び、政府側が難色を示して白紙になった。その後、後任を選ぶ「候補者検討委員会」が開かれ、18日の理事会で橋本聖子氏が選出された。

 ◆佐々木 宏(ささき・ひろし)1954年(昭29)10月18日生まれ、熊本県八代市出身の66歳。慶大卒業後、77年に電通に入社。新聞雑誌局を経てクリエーティブ局に転局。その後はコピーライター、クリエーティブディレクター、クリエーティブ局長職を歴任し、2003年に独立して、「シンガタ」を設立。ソフトバンクの「白戸家シリーズ」、サントリー「BOSS」の「宇宙人ジョーンズ」などの人気CMを多数手掛けた。

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