桐生、ケンブリッジに待った! 多田が全体トップで決勝進出 男子100メートルで初の日本一へ

[ 2020年10月2日 05:30 ]

陸上日本選手権第1日 ( 2020年10月1日    新潟市・デンカビッグスワンスタジアム )

<日本陸上第1日>男子100メートル準決勝、力走を見せる多田修平(左)と(右から)ケンブリッジ飛鳥、白石黄良々、飯塚翔太(撮影・小海途 良幹)
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 コロナ禍で6月から延期された陸上の日本選手権が1日に開幕。男子100メートルは多田修平(24=住友電工)が準決勝2組でケンブリッジ飛鳥(27=ナイキ)と同タイムの10秒23で1着になり、全体トップで2日の決勝へ進んだ。予選で2回続けてスタート器具の不具合が発生するアクシデントをはね返し、桐生とケンブリッジの2強争いに割って入った。

 すっかり伏兵的存在に成り下がっていた多田が主役に名乗りを上げた。準決勝は持ち味のスタートダッシュで飛び出す。ケンブリッジの追い上げを紙一重でかわした。同タイム10秒23ながら、1着になって全体トップで決勝へ。「久々に1位を取れた」の言葉に喜びがこもった。

 予選は周囲をヒヤヒヤさせた。器具の不具合で、2度もスタートをやり直した。特に2本目は、号砲が鳴る前に1人だけ飛び出した。場内に流れたサスペンスドラマのような音楽が、緊迫感を強めた。しかし、本人は「小さくカチっと火薬のない金属音が聞こえた。周りはフライングと思ったけど、僕は音で反応した」と自信たっぷり。集中力を保ち、10秒33(追い風0・1メートル)の6組1着で突破した。

 400メートルリレーの世界選手権2大会連続銅メダルも、17年に出した10秒07も、すっかり過去のものになっていた。フォームの乱れで近年は記録が低迷。真っすぐ走っているつもりでも、体が左に傾き「白線を踏むことがあった」。左右非対称の動きで走る競走馬に例えて「ギャロップみたい」と嘆きたくなるほど、苦しんだ。

 冬場に地道なフォーム修正を繰り返した。コロナ禍の取り組みを経て自信は確信に変わりつつある。今大会は新たに力み癖の修正に重点を置き「(前走は)肩が上がっていた。リラックスすることで腕が楽に振れて勝手に足が回る」とさらなる手応えを感じている。今大会の最高成績は17年の2位。「気合を入れて決勝に臨みたい」。過去の自分を超えるのは、今しかない。

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2020年10月2日のニュース