大坂なおみ、半年ぶり公式戦で“成長”披露の逆転白星「以前とは違う人間になった」

[ 2020年8月26日 05:30 ]

テニスウエスタン・アンド・サザン・オープン第3日 ( 2020年8月24日    ニューヨーク ビリー・ジーン・キング・ナショナル・テニスセンター )

女子2回戦で逆転勝ちした大坂(AP) 
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 女子シングルス2回戦で、世界ランキング10位で第4シードの大坂なおみ(22=日清食品)が同26位のカロリナ・ムホバ(24=チェコ)に6―7、6―4、6―2で逆転勝ちした。約半年ぶりの公式戦で、精神的に成長した姿を披露して初戦を突破。3回戦では同25位のダヤナ・ヤストレムスカ(20=ウクライナ)と対戦する。今大会は4大大会の全米オープン(31日開幕、ニューヨーク)の前哨戦で、無観客で行われている。

 12本目のサービスエースで2時間33分の熱戦に終止符を打った。1月22日の全豪オープン2回戦以来、215日ぶりの白星を手にした大坂は「正直に言うと、かなり神経質になった。第1セットは自分の中で疑念が生じていた。でも第2セットから落ち着いてプレーすることができた」と振り返った。

 2月7日の女子国別対抗戦フェド杯スペイン戦で、世界78位の格下に敗れて以来となる約半年ぶりの公式戦。自身のインスタグラムで披露して話題を呼んだ黒いマスク姿で登場した。第1セット第1ゲームはいきなりラブゲームでブレークされたが、崩れなかった。ミスをした後にラケットを叩きつけるような過去の姿はない。初対戦のムホバのスライスやロブを交えた揺さぶりに手を焼き、タイブレークの末に第1セットを落としても冷静さを保った。攻め急がずに安定したショットでペースを握り、第2セット以降は一度もブレークを許さなかった。

 コロナ禍による3月からのツアー中断中は自身と向き合う日々。開幕前の会見では「いろいろなことを考えた。たぶん以前とは違う人間になったと感じている」と内面の変化を強調していた。錦織、今年現役を引退したシャラポワさん(ロシア)らを指導した経験のある中村豊氏=写真=を6月中旬から専属トレーナーに招へい。練習中の共通語は英語だが、大坂は2人の時は日本語を使うことを提案した。コート外でも時間をともにすることの多いトレーナーから日本人特有の忍耐力や協調性を吸収したことも精神面の成長を促している。

 昨秋の中国オープン(北京)以降は右肩に慢性的な痛みを抱えていたが、回復。最後まで強打を打ち込み「痛みなくプレーしたのは北京以来なのでうれしい。ツアー再開後初戦で負けたくなかった。物凄く楽しめている」と表情を緩めた。昨年は世界ランキング1位に就いたが、現在は10位まで転落。勝利の瞬間、無観客のコートに響いた「カモーン!」の雄叫びが、巻き返しの号砲となる。

 ◆大坂の今年の歩み
 ▼1・24 連覇を目指した全豪オープン3回戦で15歳のガウフ(米国)に敗れる。
 ▼2・7 フェド杯シングルスでスペイン選手に敗れる。日本も敗退。
 ▼3・28 東京五輪延期を受けツイッターで「残念という言葉だけでは言い表せない」「数多くの命を救うのが一番大切」とコメント。
 ▼5・3 テニスのオンラインゲームで錦織組と対戦。
 ▼5・22 大坂の年収3740万ドル(約40億円)が女性アスリート史上最高額になったと米経済誌が報じる。
 ▼5・30 米国での黒人男性暴行死事件に抗議するコメントをツイッターで表明。
 ▼7・1 中村豊氏の専属トレーナー就任を発表。また、姉と共同でマスクをデザイン=写真<左>、本人ツイッターから。販売利益は子供支援のため寄付する意向を明かす。

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