東京五輪 延期なら…1年と2年後どちらがいいのか?識者2人が持論を展開

[ 2020年3月19日 09:00 ]

21年の主な大会と、22年の主な大会
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 東京五輪の延期を望む声が選手からも漏れてきた中、新たな日程は1年後と2年後のどちらがベターなのか。元日本オリンピック委員会(JOC)参事の春日良一氏(64)と、都の16年東京五輪招致推進担当課長を務めた国士舘大法学部客員教授の鈴木知幸氏(72)に意見を聞いた。

 東京五輪が延期された場合は2年以内の開催に向けて調整が行われる見通し。世界のスポーツカレンダーが予定で埋まる中、落としどころを探ることになる。1年後の開催となった場合は五輪の主要種目である陸上と水泳の世界選手権が控え、難しい判断を迫られる。一方で4年に一度の祭典にピークを合わせてきた選手にとって延期期間は短い方がいい。東京を最後の晴れ舞台と考えてきたベテランに関しては2年後に向けての再調整が過酷なものになることは間違いない。

 2年後は北京で冬季五輪、カタールでサッカーW杯が行われるものの、日程そのものが重なることはない。五輪会場の確保や大量の職員を抱える大会組織委員会の維持など問題は山積みだが、巨大スポーツイベントの日程調整だけを考えれば2年後の方がベターと言える。この場合、若手の台頭も含めて各競技の勢力図が大きく変わるケースも考えられる。

 現在はスポーツコンサルタントとして活動する春日氏は「五輪憲章に延期はない」と予定通り開催されることを予想しながらも、妥協案としての2年延期に関して持論を語る。

 「22年は冬季大会が行われる五輪イヤー。92年までは夏冬同年開催をしていた事例もある」と指摘。22年冬季五輪が北京で行われることに触れ「政治を超えてスポーツが日中の友好に貢献することになるので世界平和構築という五輪の理念に近づく」と話す。さらに北京冬季五輪、東京五輪、サッカーW杯が同じ年に開催される歴史的なケースになる。

 「五輪2大会と単独競技として世界一大きな大会であるW杯が行われれば、わくわくするスポーツイヤーになる。ウイルスに疲弊している人々に一つのともしび、明るい話題を提供することになる」

 夏季五輪とサッカーW杯が同じ年に開催されたことはない。東京五輪の2年延期で、夢の1年は実現するのだろうか。

 16年大会の五輪招致活動に関わり、現場の事情にも詳しい鈴木氏は「1年延期しかあり得ない」と断言する。

 半数以上の出場枠が確定している状況で、アスリートファーストの視点から「必死になって出場権を獲った選手を(2年延期で)納得させられますか」と発言。夏場に陸上と水泳の世界選手権が行われる点に関しては「6月に五輪を行えばマラソン以外の選手は両方できる」と強調した。

 6月開催となれば梅雨と重なるが「雨でできないのは野球だけ。ドームに会場を移せば開催できる。(夏場より)気温も下がって快適な試合ができる」と持論を展開。五輪憲章で夏季大会は4年周期のオリンピアード最初の年に開催されると規定されているが「3分の2が賛成すれば改正できる」と指摘した。

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