白鵬、35歳誕生日に特別な1勝 震災以降3.11は6戦全勝

[ 2020年3月12日 05:30 ]

大相撲春場所4日目 ( 2020年3月11日    エディオンアリーナ大阪 )

隠岐の海を上手投げで破った白鵬(撮影・後藤 大輝)
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 横綱・白鵬が、隠岐の海を上手投げで下し、昨年9月に日本国籍を取得して初めて迎えた35歳の誕生日と、東日本大震災から9年となる特別な日を白星で飾った。横綱・鶴竜は高安を下して連勝。大関・貴景勝は大栄翔に敗れ2敗目を喫した。

 絶対に負けられない一番。白鵬は慎重に焦らずに攻めた。相手の隠岐の海は素直な四つ相撲。胸から当たって素早く右を差すと、じっくり体を寄せ、左上手をつかむやいなや投げを打って、あっさり勝負を決めた。

 「万全の形になってからと心掛けて取りました。誕生日を白星で飾れてうれしい。20代の頃は35歳まで相撲を取っているイメージはありませんでした」

 周囲から祝福を受ける記念日は、東日本大震災が起きて以降、複雑な思いが交錯する一日となった。「9年前はどうしてこの日に生まれたんだろうと思った。怖さ、悲しみがありました」。そこに今年は新型コロナウイルスの感染拡大も重なった。「単に喜んでいいのか分からないというのが正直な気持ち」。だからこそ「五穀豊穣(ほうじょう)と平安を祈願する神事」と八角理事長(元横綱・北勝海)が話す横綱土俵入りは、いつも以上に集中して取り組む。「何千万人が(テレビで)見ていると意識してやっています」

 震災後、誕生日の成績は6戦全勝。そのうち実に4度は賜杯を抱く抜群の勝負強さを見せている。「横綱でも悲しい、嫌な思いをしながら土俵に上がっている。東北の人たちに勇気を与え、頑張ろうと思ってもらえれば」。災厄を払う神事を任されている男が、序盤でつまずくわけにはいかない。

 ▼八角理事長(元横綱・北勝海)これだけ長く(横綱として現役を)続けてケガが少ないのは珍しい。準備運動をしっかりやっているからだと思う。

 ▼藤島審判長(元大関・武双山)右が入って上手を探りながら、万全の相撲でしょう。

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2020年3月12日のニュース