阿部詩、父の誕生日に最高の“プレゼント” 日本女子52キロ級初の金へ「全てを懸けたい」

[ 2020年2月28日 05:30 ]

東京五輪に向けての意気込みを語る阿部詩(撮影・西川祐介)
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 全日本柔道連盟は27日、東京都文京区の講道館で強化委員会を開き、東京五輪代表に女子52キロ級の阿部詩(19=日体大)ら、男女計12人を選出した。今回の選考は全柔連が五輪への準備期間の確保のために初めて導入した内定制度の第2段階に当たり、これで男女計14階級中13階級が決定。阿部詩は全日本選抜体重別選手権(4月4、5日)に決定が持ち越しとなった男子66キロ級で、代表を狙う兄・一二三(22=日体大)への援護射撃を宣言。兄妹での金メダル獲得へ全力を注ぐ。

 世界選手権を連覇し、21日のグランドスラム(GS)デュッセルドルフ大会でも圧倒的な強さで優勝。それでも阿部詩は、内定の電話連絡をもらうまで「あまり緊張しなかったが、少しドキドキしていた」という。27日は、くしくも父・浩二さんの50歳の誕生日。記念すべき日に最高のプレゼントを届けた孝行娘は「一番いいプレゼントを届けられたかな、と思う」とはにかんだ。

 「東京五輪の代表になるのは、4年前は想像できなかった」と振り返る。17年2月にワールドツアーを史上最年少の16歳で制したものの、当時はまだ“一二三の妹”。同年4月の選抜体重別選手権では志々目に敗戦。代表入りを逃した世界選手権は志々目が制し、角田が準優勝だった。女子全7階級で屈指の層の厚さを誇るその階級を代表することになり、「強くしてくれたのは志々目選手、角田選手ら戦ってきた選手の方々。代表の責任、覚悟を持って戦いたい」と感謝した。

 心の底から喜ぶのは金メダルを獲得した時と決めているが、目指すは兄妹そろっての戴冠。丸山城志郎(ミキハウス)との福岡決戦を控える兄に向けては「兄なら絶対に決めてくれると信じています」と言葉に力を込める。もちろんただ祈るだけではない。兄とは同じ道場で稽古をし、昨年4月の日体大入学後はトレーニングも一緒に励む仲。「兄が最高の準備ができるように支えたいし、自分も頑張りながら、兄が決まるのを待ちたい」と全力サポートを約束した。

 新型コロナウイルスの影響で、来月予定していた合宿は中止になったものの、「より自分の技が切れるように課題を克服したい」とやることは明確だ。92年バルセロナ五輪から正式種目となった柔道女子で、52キロ級は唯一、日本勢の優勝がない階級。男子を含めても唯一の金メダル空白地を埋めるため「自分の全てを懸けたい」と誓い、頂点へまい進する。

 ◆阿部詩(あべ・うた)2000年(平12)7月14日生まれ、神戸市出身の19歳。5歳で柔道を始め、兵庫・夙川学院中で15年に全国中学校体育大会優勝。夙川学院高1年だった17年2月のグランプリ・デュッセルドルフをワールドツアー最年少となる16歳で制覇。18、19年の世界選手権を連覇。日体大1年。得意技は内股、袖釣り込み腰。右組み。1メートル58。


 【代表決定に喜びの声】
 ▼女子57キロ級芳田(所属先の先輩・田代の付き人として同行し)リオ五輪を間近で見て“次は絶対に出る”という気持ちを持った。五輪で優勝することが目標。リオでの思いをぶつけたい。

 ▼女子70キロ級新井 一番出たかった大会なのでうれしい。4年前に代表になれなかった悔しさから、足りない部分を見つめて強化してきた。心技体、全てが4年前と違う。

 ▼女子78キロ級浜田 ずっと目指してやってきたので、選ばれて良かった。日本開催で注目されるし、楽しみ。寝技が得意なので、寝技で(ポイントを)取るところを見てほしい。

 【選考過程】全柔連が初導入した早期内定制度は第2段階を終え、昨年11月の第1段階で内定した女子78キロ超級の素根輝(環太平洋大)を含め男女全14階級中13階級の代表が決まった。全12選手が賛成多数だったが男子60キロ級の高藤には反対3票が投じられるなど一部は満場一致にならなかった。

 同階級は高藤と永山竜樹(了徳寺大職)を3年連続で世界選手権に同時派遣し、昨年は永山が銅メダル。委員の1人から、全柔連が定める独自のポイント制度で永山が上回ると指摘されたが、男子の井上康生監督は「永山は一度も(世界選手権で)優勝できていない。昨年11月のGS大阪大会での直接対決で高藤が勝った」と説明。正当性を強調した。

 男子100キロ超級は今月のGSパリ大会で五輪連覇中のリネール(フランス)に勝った影浦心(日本中央競馬会)を推す声も出たが、安定感で上回った原沢が選出された。

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