男子100キロ超級・原沢、最重量級奪還で誇り取り戻す リオの雪辱必ず

[ 2020年2月28日 05:30 ]

柔道・東京五輪代表

原沢久喜
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 男子100キロ超級はリオデジャネイロ五輪銀メダリストの原沢久喜(27=百五銀行)が2大会連続の五輪代表に決まった。白票が1票投じられ満票での選出とはならなかったが、「勢いと若さで戦っていた」という4年前から円熟味を増し、安定感は抜群。「本番でどう勝つかということを考えて積み上げてきた。やることは

 平たんな道のりではなかった。17年はオーバートレーニング症候群を発症。不振に陥り、柔道を離れた時期もあった。ケガにも悩まされた。「いろんなことがあったけど、東京で金メダルという目標が最後までブレなかったからこそ、ここまで来ることができた」。苦難を乗り越え、全てを力に変えてきた。

 今夏に雪辱を誓うのは前回大会決勝で敗れた五輪2連覇中のリネール(フランス)。絶対王者は2月のGSパリ大会で、原沢と代表入りを争ってきた影浦心(24=日本中央競馬会)に10年ぶりの敗北を喫した。昨年のGPモントリオール大会決勝で宿敵と接戦を演じた原沢は「もちろん本番はパリのような仕上がりではないはず」と前置きした上で、「1強の時代じゃなくなった。大いにチャンスはある」と強調。牙城を崩す時が来た。

 自国開催の五輪で思い出されるのは、64年の男子無差別級決勝で神永昭夫がヘーシンク(オランダ)に敗れた一戦。“お家芸”の日本柔道の花形、最重量級のエースは「負けたこともあって今回の自国開催は注目されるけど、誇りを持って力に変えていきたい」と思いは強い。威信を懸け、同級で08年北京以来となる金メダルを獲りにいく。 

 ◆原沢久喜(はらさわ・ひさよし)1992年(平4)7月3日生まれ、山口県下関市出身の27歳。6歳で柔道を始める。日新中―早鞆高―日大―日本中央競馬会―百五銀行。全日本選手権は15、18年優勝、世界選手権は17年2回戦敗退、18年銅メダル、19年は銀メダル。16年リオデジャネイロ五輪銀メダリスト。得意技は内股と大外刈り。右組み。1メートル91、123キロ。

 【男子代表決定喜びの声】
 ▼男子60キロ級高藤 リオの銅メダルから悔しい気持ちを持って戦ってきた。手堅さを手に入れて、リオの時よりも強い。五輪の悔しさは五輪で晴らしたい。

 ▼男子81キロ級永瀬(17年のケガは)神様の試練とプラスに考え、フラットな状態からつくり上げてきた。4年前になかった挫折の経験を生かした、強い柔道をしたい。

 ▼男子90キロ級向 五輪という名前があるだけで何も変わらないと思っている。良くも悪くも器用貧乏を生かして、今とは180度違う柔道を見せたい。

 ▼男子100キロ級ウルフ・アロン(全日本、世界選手権との3冠へ)残す1冠は五輪だけ。また歴史に名を刻みたい。勝つ柔道より、負けない柔道をしたい。

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