全英Vで脚光 渋野日向子、真のスターへ東京五輪で金!“藍さん超え”で子供たちのお手本に

[ 2020年1月1日 06:00 ]

笑顔で栗きんとんを頬張る渋野日向子(撮影・沢田 明徳、白鳥 佳樹)
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 女子ゴルフ界に彗星(すいせい)のごとく現れた渋野日向子(21=RSK山陽放送)の初夢は、表彰台の真ん中でとびっきりの笑顔を浮かべる姿だった。昨年8月にAIG全英女子オープンを制し、一躍東京五輪のメダル候補として脚光を浴びるようになった「スマイリングシンデレラ」。全英優勝よりも影響力が強いという東京五輪での金メダル獲得へ、しぶトークを全開させた。

 2019年は渋野にとって転機の一年となった。3月のシーズン開幕前は無名だったが、5月にメジャーでツアー初優勝を飾ると、8月に海外メジャー制覇の快挙。「スマイリングシンデレラ」が流行語になり、国民的アスリートになった。

 「本当に人生が変わった一年だった。外国のも合わせたら年間5勝できた。いい一年だったなって思います」

 ダイナミックなスイングはファンを魅了。強気なスタイルも話題となったが、周囲への感謝の気持ちは忘れない。

 「技術はまだまだなんですけど、良い意味でずぶとく、最後まで行けたのかな。調子がう~んって思うときもありましたけど、その中でも初心に帰る時間があったり、コーチから思ってることを言ってもらえたり、そういうのがあったから気持ち的に変わることができた。周りに支えてもらったというのが一番大きかった」

 ソフトボール日本代表が最も輝いた北京五輪決勝。テレビで見た上野由岐子の快投と金メダル獲得の瞬間が今でも脳裏に焼き付いている。いつか私も…。その思いが芽生えた。

 「やっぱり私の一番のオリンピックのイメージって言ったら、北京のソフトボールの日本代表の金メダルなので。凄い影響が私の中ではありました」

 中学1年生のときに初めてゴルフで優勝しソフトボールからは離れた。しかし、全英の優勝で、上野らと同じ舞台に立てる可能性が浮上。目標として意識し始めた。

 「全英の優勝で世界ランクがかなり上がって現実味が出てきた。もっと頑張れば選ばれるかもしれない、上野さんと一緒に出られるかもしれないって思えた」

 半年後の大舞台。表彰台に立つイメージを問われると、こう話した。

 「全然できてません(笑い)。あはは。まだ選手にも選ばれてませんので、まずは選ばれるためにというのが一番ですかね」

 ゴルフ人口の減少が叫ばれる中、五輪で金メダルを獲ることがゴルフ界にとって最高の価値だと実感する。かつて自身が宮里藍さんに憧れたように、子供たちの目標になれることが理想像だ。

 「結果を出すことによって、宮里藍さんのようにいろんな人にゴルフを知ってもらえる。もっと藍さんより活躍できるような選手になれるように、ゴルフも人柄もそうですけど。憧れて(ゴルフを)始めましたと言ってもらいたいし、プロテストに受かる前からそういう選手になりたいと思っていた。日本で金メダルを獲るところを見てもらえるのって凄いことだし、それってめちゃくちゃ格好いいと思う。全英以上に影響を与えるんじゃないかと思うし、それが最高の結果だと思う」

 憧れの人でもある宮里藍超え。その先にはさらなる栄光が待っている。

《来年米ツアーへ 土台づくりの一年》

 今年は渋野にとって、五輪とともに米ツアー挑戦に向けても大切な一年になる。2021年の本格参戦を目指し、今秋の米ツアー予選会を受験予定。「この1年間でもっと覚悟を決めて、21年に米ツアーで戦いたい」と力を込める。

 全英制覇後、米ツアーメンバーになる資格の行使を「覚悟ができていない」と見送った。昨秋に青木翔コーチと今後について話し合った際、「やめるなら5大メジャーを勝ってからにしてくれ」と言われた。壮大なプランに「何言ってんだこの人(笑い)」と驚きながらも「1つ勝ったのであと4つ。5大メジャーを制覇するには早くから海外のツアーに行かないと」と前向きに受け止めた。この時に米ツアー挑戦への、心が決まった。

 大きな目標だが、まだ21歳。キャリアグランドスラムも、決して夢物語ではない。「なかなか現実味はないですけど…。最後の5個目のメジャーを勝って引退しますと言えたら、格好いいな」。世界進出に向けた、土台づくりの一年にする。

 《初詣で「ケガしませんように」》○…渋野は31日の紅白歌合戦を終え、元日に地元・岡山に帰郷。母・伸子さんらが作るおせちやお雑煮を食べる。渋野家のお雑煮は自家製の四角の餅にすまし汁。ちなみに「私はそんなに手伝ってない(笑い)」そうだ。近所の神社に初詣に行くのも恒例で、昨年11月の伊藤園レディースで予選落ちした直後も出向いた大切な場所。昨年はシード獲得をお願いしたと言い、今年は「東京五輪と無事にアメリカツアーに出られますように。ケガをしませんように」と手を合わせるという。

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