スポーツ界今年の言葉 W杯8強にリーチ「誇り」イチロー氏「野球を愛した。変わることはなかった」

[ 2019年12月31日 09:00 ]

(左から)イチロー氏、、リーチ・マイケル、渋野日向子
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 令和元年となった2019年、スポーツ界でも心に残る言葉が生まれた。今年話題になった言葉に贈られる「2019ユーキャン新語・流行語大賞」では、ラグビーW杯で史上初の8強入りを果たした日本代表のスローガン「ONE TEAM(ワンチーム)」が年間大賞に選ばれた。そんなスポーツ界から出た今年の心に残る言葉を振り返り、ピックアップする。

 「ONE TEAM」をスローガンに掲げたラグビー日本代表。10月20日、W杯準々決勝で南アフリカ代表に敗れた直後のグラウンド上での円陣で、リーチ・マイケル主将(31)は「下を向く時間は必要ない。胸を張って、このチームを作って主将として誇りに思っている。1人1人が誇りに思うべき。今後の姿、態度で見せることが大事」と声をかけた。列島を熱くさせた桜の戦士たちをまとめあげた主将は常に前を見据え、日本のラグビー界を考える言葉を残した。

 これに先立つ同13日には1次リーグ最終戦でスコットランドを撃破し8強入りを決めた。代表初トライを挙げたプロップ稲垣啓太(29)は「一番いい舞台で一番いいトライをさせてもらった」と語り、その後「台風によって被災した方々にラグビーで元気を取り戻していただきたい」と、被災者を気遣った。また、9月28日にはアイルランドに勝利、その瞬間に実況のNHKの豊原謙二郎アナウンサー(46)は「もう奇跡とは言わせない!」と絶叫、ネット上で称賛の声が広まった。

 ラグビーだけでなく、スポーツ界からは女子ゴルフの渋野日向子(21)を指す「スマイリングシンデレラ/しぶこ」も流行語大賞トップテンに入った。

 渋野は初めて海外試合に挑んだ8月の全英女子オープンで優勝。樋口久子氏以来で42年ぶりに日本人史上2人目の海外メジャー制覇を達成し、時の人となった。

 その後、帰国した際に東京都内の記者クラブで行った会見では「日本を代表する素晴らしい選手、みんなから愛される選手になりたい」と告白。理想については「宮里藍さんのような日本を代表する素晴らしい選手」と明かし「みんなからも愛されて、ジュニアからも尊敬されるような選手になりたい」と思いを込めた。明るい笑顔で魅了しファンを大切にする渋野らしい言葉だった。

 野球界からはメジャーの開幕と同時に、日米の野球史に数々の記録を残したイチロー氏(46=現マリナーズ会長付特別補佐兼インストラクター)が現役を引退。3月21日午後11時56分に始まった引退会見では「後悔はあるか?」と問われ、「今日の球場でのあの出来事…あんなものを見せられたら後悔などあろうはずがありません」と答えた言葉は同賞の選考委員特別賞に選ばれた。

 そのほかにも、イチロー氏を象徴する言葉があった。「野球のことを愛したこと。これは変わることはなかった」。28年間のプロ野球人生で日米通算4367安打、日本人野手で初めてメジャーの扉を開き、数々の記録と記憶を残してきた不世出の大選手が貫いてきた信念は多くの人の心に刺さった。メジャーリーグではエンゼルスの大谷翔平(25)が4月13日のレイズ戦で日本選手初のサイクル安打を達成「単純に凄いうれしい。みんな喜んでくれていたので、良かった」と率直な気持ちを表した。来季は投打二刀流復活の見込み、どんなパフォーマンスを見せ、何を語るか。

 来年は東京五輪が開催される。自国で行われる白熱した試合とともに、新たに生まれる心に残る言葉がいくつ出るだろうか。

 【2019年 スポーツ心に残るひと言集】

 ▼東海大・両角速監督 箱根駅伝初の総合優勝に「選手に厳しい課題を押し付けているので、監督自身も胴上げしやすいように準備しないと」。食事制限と毎日の走り込みで86キロから69キロに減量。(1月)

 ▼横綱稀勢の里(現荒磯親方) 初場所中に引退を表明「土俵人生において一片の悔いもございません」。大ファンだった漫画「北斗の拳」のキャラクター、ラオウが最後に発した言葉を引用。(1月)

 ▼タイガー・ウッズ 14年ぶりのマスターズ制覇に「パパがメジャーを獲るところ見せたかった」(4月)

 ▼八村塁 NBAウィザーズから1巡目指名受け「自分の加入でインパクトを与えることができると思います」(6月)

 ▼武豊 全レース騎乗しG1通算7勝のディープインパクトの死に「私の人生において特別な馬でした」。10月の菊花賞では産駒のワールドプレミアで優勝を果たした。(7月)

 ▼前田穂南 東京五輪マラソン代表選考レース「マラソン・グランド・チャンピオンシップ」女子優勝、代表内定から一夜明け「母の手料理を食べたいです」。(9月)

 ▼井上尚弥 ワールド・ボクシング・スーパーシリーズ・バンタム級決勝でドネアに判定勝ちし「世代交代できたと思っている」。第2Rに左フックを浴び右目が二重に見える状態で激闘を戦い抜いた。(11月)

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2019年12月31日のニュース