高橋 血染めのSP14位「あと10年若かったら…」 22日フリーがシングル“ラストダンス”

[ 2019年12月21日 05:30 ]

フィギュアスケート 全日本選手権第2日 ( 2019年12月20日    東京・国立代々木競技場 )

フィニッシュを決める高橋の右手からは出血が見られた(撮影・小海途 良幹)
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 フィギュアスケートの全日本選手権男子ショートプログラム(SP)が20日行われ、今大会を最後にアイスダンスに転向する高橋大輔(33=関大KFSC)は、14位だった。2本のジャンプのミスが響き、65・95点にとどまった。22日のフリーでシングルに別れを告げる。

 言葉はいらない。演技後、すぐにリンクに両手をついた高橋の気持ちは会場に伝わった。33歳は疲れたのだ。

 「あと10年若かったら、もうちょっとできたかな」

 ロック調のリズムに合わせ、男の色気を漂わせながら激しく動き続けた2分40秒。3本の3回転ジャンプはすべてミス。途中からは「足に来てしまった」。それでも、一時代を築いた人気は不変。最初から最後まで手拍子が響いた。右手薬指からは出血もしていた。「なんで切れたんだろう」。無我夢中で「最後のSP」を滑った。

 突然の発表は9月だった。過去5回優勝し、昨年5季ぶりに現役復帰して2位に入ったこの全日本選手権で一区切り付け、アイスダンスに転向することを表明した。村元哉中とコンビを組み、「22年北京五輪出場」を目標に掲げた。

 10年バンクーバー五輪で銅メダルを獲得し、女子優勢だった日本の男子フィギュア界をけん引した男は、自分の土俵と、新しい世界への興味との間で、心が揺れ動いた。

 「そっちに気持ちは向いているけど、これをやり切らないといけない。集中するのに時間がかかった」

 調整にも手間取った。11月の西日本選手権を左足首の負傷で欠場した。スケート靴のメーカーを替えること2度。SPの激しい振り付けが「体にけっこう来た」と肩も痛めた。

 年齢と戦いながら、今季の実戦ゼロでこの舞台に立った。65・95点で14位。「今日に限っては残せたものはなかった。フリーで挽回できれば」。22日が本当に最後。演技で、言葉で、人を引きつけるフィギュア界の太陽には、ハッピーエンドがふさわしい。

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2019年12月21日のニュース