羽生、限界突破!“世界最高”110・72点 SP「満足」首位発進 5度目頂点へ22日フリー

[ 2019年12月21日 05:30 ]

フィギュアスケート 全日本選手権第2日 ( 2019年12月20日    東京・国立代々木競技場 )

男子SP、演技を終え小さくうなずく羽生(撮影・小海途 良幹)
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 男子ショートプログラム(SP)が行われ、14年ソチ、18年平昌五輪金メダルの羽生結弦(25=ANA)は国際連盟非公認ながら自身が持つ世界最高得点を上回る110・72点を叩き出し、首位発進した。中1週間で続く3連戦のラストマッチながら、出来栄え点を意識した全日本版の「秋によせて」を完璧に演じ、4年ぶり5度目の頂点へ大きく前進した。21日には女子フリー、22日に男子フリーが行われる。

 演技を終えた羽生は、静かにうなずくだけだった。全てのジャンプを決め、力強い連続ステップを刻んだ。18年11月のGPロシア杯で出した110・53点を0・19点上回る110・72点。「とりあえずホッとしている。おおむね満足している」。4年ぶりの全日本でさすがの強さを示した王者は、かぶとの緒を締めた。

 連戦の疲労は言い訳にしない。それどころか攻めの構成だった。前戦のGPファイナルまで基礎点1・1倍の3本目に跳んでいた4回転―3回転のコンビネーションを1つ前倒しして成功。消耗の少ない状態で跳ぶことで、基礎点でなく「出来栄え点をより多く稼ぎたい狙いがあった」という。完璧に決めた連続技は出来栄え点4・34点。得点を上積みし、他のジャンプも質高くまとめた。

 全日本版「秋によせて」は、進化の形だ。「(SPは)きれいに跳べてこそのプログラム」。だからこそ、羽生の冒険心は尽きない。「(2本目の)アクセルは軽やかな跳び方をしないといけないと表現的に凄く思っていた」。曲調も考慮しながらジャンプの種類を変更。「どうやってトーループをより軽い流れのトーのつき方にするか。それが挑戦ではありました」と孤高のチャレンジを振り返った。

 NHK杯、GPファイナルと中1週間で大会が続く。連戦もトップスケーターとしての宿命だ。ファイナルではネーサン・チェン(米国)に敗れ、準優勝。「またすぐ試合か…」。肉体的にも精神的にも落ち込み、「割とヘコんでいて…」と明かす。だが、経験値の高さも王者たるゆえんだ。「どれくらいの体力の消耗の仕方で、どれだけ調整していくのがベストか。その時々の体調で分かってきている感じがする」。抜かりなく調整し、国内大会ならではの重圧も力に変えた。「期待されるからこそ頑張んなきゃと思う」と言い切った。

 全日本5度目の頂を、くっきりと視界に捉えた。22日に中1日でフリーが待つ。「(未完成の)4回転アクセルはしないと思う」とジョークめかしながらも「とにかくしっかり休んで。どういう状態になっているか確認しながら考えたい」と前を向いた。羽生が、勝利への「Origin」を舞う。

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