羽生 荒川静香さんから金パワー いざチェン討ちへ!公式練習で大技4回転ルッツ成功

[ 2019年12月5日 05:30 ]

<GPファイナル公式練習>クールダウンする羽生結弦(撮影・長久保 豊)
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 フィギュアスケートのグランプリ(GP)ファイナルは5日(日本時間6日未明)にイタリア・トリノで開幕する。4日に公式練習が行われ、男子で男女シングル史上最多5度目の優勝を狙う14年ソチ、18年平昌五輪連覇の羽生結弦(24=ANA)は大技4回転ルッツに成功。会場では06年トリノ五輪で金メダルを獲得した荒川静香さん(37)からパワーを注入され、ネーサン・チェン(20=米国)との直接対決へ準備が整った。

 あの時の記憶がよみがえった。リンク上を漂いながら、会場を見渡していた。「ここ、見てたところだな」。トリノ五輪も行われたパラベラ。同じアイスリンク仙台で育った大先輩が日本フィギュア界初の金メダルを獲得した場所でもある。「憧れの中で滑っているというか、そういう感覚でいた」。羽生にとって、これ以上ない最高の舞台となる。

 「会場自体に凄い大きなエネルギーがある。自分が凄くスケートにのめり込んでいた時期の五輪があった場所。いろんな思い出があります。記憶としての思い出もあるが、記録としてここに残っているものは一生消えない。そういうものに勝手に力をもらいながら演技したい」

 当時11歳の羽生少年は、荒川さんの金メダルに心が震えた。当時の流行語大賞にもなったイナバウアーは、今でも演技に組み込んでいる。練習後はテレビ解説のため現地にいる荒川さんと記念撮影。廊下でトリノ五輪のロゴを確認すると、自らの携帯端末で写真に収めた。フリー曲「Origin」は男子優勝のプルシェンコ氏へのオマージュでもある。「本当は試合は楽しむものじゃないと自分は思う。ただ、今日は凄いスケートが楽しいなって」。真剣勝負の場であることを忘れてしまうほど、一瞬一瞬を楽しんでいた。

 今大会は、昨季の世界選手権以来となるチェンとの直接対決。男女シングル史上初となる5度目の頂点が懸かる。だが、余計な感情は消えた。「自分の中で集中し切れていた」。公式練習では4種類の4回転ジャンプに成功。今大会のフリーで17年ロシア杯以来の解禁も視野に入れる大技ルッツもクリーンに決めた。「感触は良かった。SPをやってみての体力とか、体の感覚は絶対変わる。それ次第」。羽生には、確かな自信があった。

 日本時間6日に行われるSPでは、羽生は最終6番滑走に決まった。運命のフリーが行われる7日(日本時間同日)は、自身の25度目の誕生日となる。「心の底から“やったーっ!”と思えるような誕生日になっていれば、おのずと結果もついてきているのかなと思います」。また一つ、激闘を経て、王者は強くなる。

 《コーチ陣不在で本番も》羽生のこの日の練習にはコーチ陣が不在だった。羽生によると今大会は1選手につき、コーチのIDは1枚で、オーサー・コーチではなく、ブリアン・コーチが同行する予定だったという。だが、羽生は「ちょっとトラブルがあって(ブリアン・コーチが)来るのが遅れている」と説明。男子SPが行われる5日に間に合うかどうかについても「ちょっと分からないので、とりあえず自分でやることはやります」と話した。

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