五輪マラソン 20キロだけ決定 札幌コース後半部分決まらず…組織委・WA両者譲らず

[ 2019年12月5日 05:30 ]

取材に応じる組織委の武藤敏郎事務総長。左は森喜朗会長
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 国際オリンピック委員会(IOC)は4日、スイスのローザンヌで理事会を開き、札幌開催に変更された20年東京五輪のマラソンと競歩について、8月6日からの4日間集中開催と大通公園発着を承認した。しかし、大会組織委員会と国際統括団体ワールドアスレチックス(世界陸連=WA)の案が異なるマラソンのコースについては決定を先送り。1周目に20キロコースを使用することのみ合意し、2周目以降に関しては今月中旬の結論を目指す。

 五輪マラソンコースの後半部分が決まらない異例の承認だ。大会のレガシーを残すためにハーフマラソンの距離を2周するコースを望む札幌市と組織委に対し、WAはよりコンパクトな7キロ×6周を提案。1周目の20キロコース使用は認めたものの、副会長を務めるセルゲイ・ブブカIOC理事がこの日の理事会で「後半はWA案を実現したい」と残りの約22キロについて7キロを3周する案を主張するなど譲らなかった。WAが現地視察した上で今月中旬に結論を出すことになった。

 ただし、五輪で前半と後半の周回コースが異なるマラソンは「やったことがないので慎重に検討しないといけない」(武藤敏郎・組織委事務総長)と未知数。北海道マラソンをベースとした20キロコースとは異なる、7キロコースのための区間を設定するには時間もかかる。WAはコンパクトなコースなら人件費などを削減できるとしているが、20キロコースと7キロコースの併用ではスタッフはより多い人数が必要だ。組織委の森喜朗会長は「地元の皆さんが受け入れやすいものにする」とあくまで20キロ×2周を訴えていく姿勢を示した。

 東京から札幌への移動費などを抑えるためマラソンと競歩は4日間の集中開催に決定。東京よりも気温や湿度が低いことからマラソンのスタートも当初の午前6時から7時に繰り下げられた。有料観客席を設けないためチケットも販売されないことが決定。マラソンコースだけ未定という中途半端な結論に、組織委関係者は「本来なら今日全部決めたかった」と苦笑いした。

 ▼日本オリンピック委員会山下泰裕会長 一歩前進と捉えていいのかなと思う。(コース)後半はどうするのか。アスリートファースト、レガシーという視点を勘案しながら、早めに決めていただければありがたい。

 【経過】
 ☆19年9月27~28日 ドーハで開催された陸上の世界選手権の女子マラソンで高温多湿の影響により棄権者が相次ぐ
 ☆10月16日 IOCがマラソンと競歩を札幌開催に変更する代替案の検討に入ったと発表
 ☆17日 IOCのバッハ会長が「IOC理事会と大会組織委員会は札幌市に移すことに決めた」と発言
 ☆11月1日 IOC、東京都、組織委、政府の4者協議が開かれ、札幌開催で決着。移転で生じる費用は都が負担しないことなどを確認
 ☆8日 組織委、札幌市、北海道が実務者会議を初開催。仮設設備を含む大会経費は組織委とIOCが支払うなど、費用負担の原則で一致
 ☆18日 組織委、札幌市、北海道の第2回実務者会議で、発着点を大通公園とすることで一致
 ☆12月4日 IOC理事会で大通公園発着を承認。計5種目を大会終盤4日間で集中開催。マラソンコースは協議継続に

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