楢崎智亜、東京五輪出場金で決めた!複合日本勢史上初の世界一

[ 2019年8月22日 05:30 ]

スポーツクライミング・世界選手権   最終日 ( 2019年8月21日    エスフォルタアリーナ八王子 )

男子複合決勝、ボルダリングの第2課題を完登しガッツポーズを見せる楢崎智亜(撮影・会津 智海)
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 男子複合で楢崎智亜(23=TEAM au)が金メダルに輝き、7位以内&日本人最上位の条件を満たして20年東京五輪代表に決まった。13日のボルダリングと合わせて2冠とし、複合では男女通じて日本勢初の世界一になった。原田海(20=日新火災)が4位で五輪参加資格を獲得し、楢崎智の弟・明智(20=TEAM au)は5位、藤井快(26=TEAM au)は6位だった。

 大歓声を切り裂き、楢崎智の雄叫びが会場に響いた。13日に金メダルを獲得し、「プライドがある」というボルダリングで、勝負を決めた。他の7人が太刀打ちできなかった第1課題。わずか40秒で“一撃”すると、続く2つの課題も攻略して唯一の全完登だ。2種目終了時点でトップに立つと、リードで自身の試技前に金メダルが確定。初めて観戦に訪れた父・克雄さんの目の前で、“ウイニングクライム”を披露した。

 「今までで一番うれしい。ずっと目標だった。優勝できるという感覚があった」

 昨年はフライングし、複合5位の原因となった1種目目のスピード。「恨みっこなしだぞ」と1回戦で弟・明智との仁義なき兄弟対決を制し、準決勝は6秒159と自身の日本記録(6秒291)を更新した。さえ渡った、序盤のフットホールドを飛ばして直線的に登る「トモアスキップ」。今やスピード専門の選手も取り入れるムーブだ。「名前は残せてうれしい」。2位で勢いに乗り、ボルダリング1位、リードも2位とライバルを圧倒。「クライマーとしてより、アスリートとして強くなっている」と胸を張った。

 17、18年はフィジカル強化に重点を置いたが、今季は違う。「筋力トレーニングをすると、体の感度が落ちて自在に操れなくなる。今はクライミングに落とし込んでいっている」。鍛え抜いた体を駆使し、自らが設定した高難度のコースなどに挑む日々。フィジカルとテクニック、自分を見失わないメンタルの高次元の融合が、戴冠の要因だった。

 1年後の夢舞台では大本命だ。「(各種目)1、1、1を狙えるように。金メダルを獲ることしか考えていない」。20年8月6日に予選、8日に決勝。「クライミング以外でしたいことは?」という問いに考え込み、口にした言葉は「もっと強くなりたい」――。限界なんて存在しない。最強クライマーは、さらに強くなる。「五輪初代王者」の称号を得るために。 

 ◆楢崎 智亜(ならさき・ともあ)
 ☆生まれとサイズ 1996年(平8)6月22日生まれ、栃木県出身の23歳。1メートル69、60キロ。
 ☆競技歴 幼少時は体操をしていたが、小学5年でクライミングを始める。
 ☆主な実績 ボルダリングで16、19年にW杯年間王者。世界選手権の同種目でも16、19年に金メダルを獲得した。複合のジャパンカップは18、19年と連覇している。
 ☆弟 3学年下の明智(20)もクライマーで今大会に出場。今大会の休養日には仲良く温泉に。

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