一平 200M平泳ぎ銅に「悔しさ80 うれしさ20」 金メダルのチュプコフに「世界記録かっさわれた」

[ 2019年7月27日 05:30 ]

水泳世界選手権第15日 ( 2019年7月26日    韓国・光州 )

<世界水泳光州2019・競泳6日目>男子200メートル平泳ぎ表彰、メダルを胸に声援に応える渡辺(撮影・会津 智海)
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 男子200メートル平泳ぎ決勝で、世界記録保持者の渡辺一平(22=トヨタ自動車)が2分6秒73で2大会連続の銅メダルを獲得した。優勝したアントン・チュプコフ(22=ロシア)に自身の保持していた世界記録を破られての完敗。世界記録保持者の座から陥落したが、ハイレベルなレースで表彰台に食い込み、東京五輪への可能性を感じさせた。

 コースロープに体を預け、渡辺が電光掲示板を見上げた。力を出し切った満足感と、世界記録を破られて頂点を逃した悔しさ。複雑な思いが交錯した。レース直後は「すがすがしい銅メダル」と語っていたが、表彰式後に一転。「うれしさと悔しさを100で表現すると、悔しさが80でうれしさが20。世界記録もかっさらわれた。悔しさの方が圧倒的に大きい」と唇をかんだ。

 複数のレースプランから前半から飛ばすスタイルを選択した。さらにハイペースを刻んだウィルソンを追い、150メートルは2番手でターン。5番手のチュプコフには0秒65差をつけていたが、残り25メートル付近で一気にまくられた。2分6秒73はセカンドベスト。力を出し切っての完敗だった。

 水の抵抗の少ない泳ぎが特徴だが、奥野景介コーチ(53)は「抵抗を減らすのは、ほぼ限界。どこかで推進力を増さないといけない」と今季から新たなアプローチを始めた。4月の国際大会でチュプコフの泳ぎを動画で“隠し撮り”。宿敵の水中動作を研究し「骨格や柔軟性などの体の構造上、(渡辺)一平に同じキックは打てない。上半身の推進力を増してスピードを上げる」と結論づけた。上肢の筋力アップを図り、手のかき方を大きくするフォーム改善にも取り組んだ。

 16年リオ五輪では準決勝で五輪新記録を打ち立てながら、決勝は6位に沈んだ。帰国時の空港で、会見に向かうメダリストと動線を分けられた悔しさを忘れたことはない。1年後に向け「チュプコフとウィルソンの方が上手だった。彼ら以上に地獄のような練習を積んで、天国のような一番上の表彰台に上りたい。日本のお家芸の200メートル平泳ぎで負けるわけにはいかない」と前を向いた。前世界記録保持者は挑戦者として、東京五輪までの1年を過ごす。

 ◆渡辺 一平(わたなべ・いっぺい)1997年(平9)3月18日生まれ、大分県津久見市出身の22歳。佐伯鶴城高、早大を経て、今年度からトヨタ自動車に入社。17年1月の東京都選手権の200メートル平泳ぎ決勝で、2分6秒67の世界記録を樹立した。16年リオ五輪200メートル平泳ぎ6位。少年時代は線が細く赤い水泳帽だったため愛称は「マッチ棒」。家族は両親と姉3人。身長1メートル93、76キロ、足は30センチ。血液型A。

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