ゴルフ界にとってのコペルニクス的転回…PGAが女性にも門戸を開放

[ 2019年6月21日 05:30 ]

改革を進める日本プロゴルフ協会の倉本会長
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 日本プロゴルフ協会(PGA)が画期的な取り組みを始めた。これまで男子しかいなかった会員に女子を加えることを決めた。実技審査の合格基準など制度の整備は検討中のため、今年については使用ティー、合格スコアは男子と同条件という前提となるが、前週までに既に7人の女子が応募。8月の実技審査、9月の筆記・面接審査に合格すれば11月からのB級資格認定講習会を受講できる。会員の門戸を広げることで倉本昌弘会長(63)はゴルフ界の活性化につなげたい考えだ。

 PGAは1957年に設立され、67年に組織内に女子部がつくられた。74年にPGAから独立する形で日本女子プロゴルフ協会(LPGA)が発足。それ以降は男女の協会がそれぞれ棲み分ける形で並立していたが、近年、PGAに対しゴルフ場や練習場から、女性ティーチングプロの派遣依頼が寄せられるようになっていた。そうした声に倉本会長は女性への門戸開放の必要性を感じた。「教わる側が女性を望んでいても、PGAには男性しかいないので対応ができない。でも女性会員がいればお客さまの要望に応えられる」。その整備に乗り出すまでに、時間はそれほどかからなかった。

 もともと公益社団法人のPGAの定款には、会員資格に男女の区別はなかった。「女性が入会を希望した場合は定款上、断れない。(公益法人の認定を行う)内閣府からも“なぜ女性がいないのか”と指摘される可能性もありました。だったら女性も入会できるようにしようということになりました」。身近な“お手本”もあった。「PGA・オブ・アメリカ」だ。全米各地のゴルフ場で働くゴルフプロフェッショナルが主体となった団体で、メジャーの全米プロ選手権をはじめとするトーナメントも開催している。同団体は約2万8000人の会員がおり、そのうち1300人が女性。昨年そのトップに、米女子ツアーでのプレー経験もあるスージー・ウェイリー氏(51)が女性で初めて就任した。ウェイリー会長はPGAの今回の試みについて「多様性と包容は未来の扉を開けます。それは新たな顧客の獲得にもつながります」とコメントしており、倉本会長にも「画期的ですね」と話しているという。

 PGAの門戸開放は指導者を目指す女性ゴルファーにも朗報だ。現在、女性ティーチングプロの資格認定はLPGAが実施しているが、その教育を行っているのは実はPGAである。LPGAのティーチングプロになるためには、A級まで資格を取得する必要があるが、PGAならA級の前のB級資格を取得した段階で、プロとして入会が認められるのだ。ティーチングプロの資格を取得するには時間も費用もかかるが、B級で入会ができればそうした負担も少なくて済む。「女性ゴルファーがティーチングプロになろうとする場合、その窓口がPGAとLPGAの2つがあると思ってもらえれば」。前週のスターツシニアで3年ぶりの優勝を飾り、選手と協会トップの一人二役で大車輪の働きを見せる倉本会長。その取り組みは、プレーヤー人口の減少に直面するゴルフ界のムードを変えそうだ。

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2019年6月21日のニュース