平幕・朝乃山 単独首位に 物言いつくも1敗キープ 残り4日間「目の前の相手に集中」 

[ 2019年5月23日 05:30 ]

大相撲夏場所11日目 ( 2019年5月22日    両国国技館 )

<夏場所11日目>佐田の海(手前)を寄り切りで破る朝乃山 (撮影・白鳥 佳樹)
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 1横綱2大関を含め関脇以上が総崩れする中、平幕・朝乃山が優勝争いの単独トップに立った。佐田の海を寄り切って1敗をキープ。11勝した昨年名古屋場所以来の2桁勝利を挙げると、その後に1敗の関脇・栃ノ心、横綱・鶴竜が敗れて2敗となった。大関復帰まであと1勝としていた栃ノ心の10勝到達は持ち越し。夏場所の優勝争いも風雲急を告げてきた。

 2桁10勝に到達し引き揚げた支度部屋。朝乃山は「足、出てましたか」と逆質問。自身の感覚を「(左足が)俵についてパッと戻した。パッと引いたと思う」と明かした上で「どっちか分かんないですね」と勝負審判への心遣いにも受け取れる一言を加えた。

 自身が勝ち名乗りを受ける前に国技館が微妙な空気に包まれた。立ち合いから一気に前に出たが、佐田の海が土俵を割る前に、朝乃山の左爪先が出ていたのではないかと物言いが付いた。協議後、審判部長の阿武松親方(元関脇・益荒雄)の説明で迷走した。

 「行司軍配は朝乃山に上がりましたが、佐田の海のかかとが先に出ているのではないかと物言いが付き、協議した結果、佐田の…朝乃山のかかとが先に出ており、朝乃山の勝ちと決定しました」。言い間違い連発にファンがどよめく。審判部長は再びマイクを握り「佐田の海のかかとが出ており朝乃山の勝ちとします」と言い直すと、ようやく館内から拍手が起こった。打ち出し後の同親方は「私のミスです」とバツが悪そうだった。

 思わぬハプニングにも動じない朝乃山は「(優勝争いは)全く考えてません。目の前の相手に集中するだけ」と話し国技館から引き揚げた。その後に上位陣が総崩れし、優勝争いの単独トップへ。11日目終了時点で平幕の単独トップは、07年秋場所で新入幕だった豪栄道以来だ。協会No・2の尾車事業部長(元大関・琴風)は「こうなると鶴竜、栃ノ心(との対戦)に持っていかれる」と終盤の割を崩す可能性を示唆した。きょう12日目は今年初場所優勝の玉鷲と対戦。真価を問われる残り4日間となる。 (原口 公博)

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