朝乃山 自然体1敗死守 58年ぶり三役経験なしで平幕V快挙だ

[ 2019年5月22日 05:30 ]

大相撲夏場所10日目 ( 2019年5月21日    両国国技館 )

正代(右)を攻め寄り切りで破った朝乃山(撮影・久冨木 修)
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 平幕・朝乃山が正代を寄り切って1敗を守り、優勝争いトップを並走している。三役経験がないまま優勝すれば1961年夏場所の佐田の山以来58年ぶりの快挙だ。関脇・栃ノ心は小結・御嶽海を圧倒して大関復帰の10勝に王手をかけ、横綱・鶴竜とともに1敗をキープ。2敗は平幕・琴恵光だけとなった。

 体が自然に反応して勝機をつかむ。好調な証拠だ。立ち合いで得意の右四つになれなかった朝乃山は突き放し、まわしにこだわらずに前へ出る。正代を土俵際に追い詰めたところで左が入り、決まり手は寄り切り。攻めの姿勢を貫いて2桁10勝に王手をかけた。

 「(突き放しは)無意識です。前にやった時に“突くのもあり”だと思っていた」

 場所前の7日に両国国技館の相撲教習所で行われた時津風一門の連合稽古で正代と手合わせ。そこでつかんだ感触が優勝争いに生き残るための一番で、とっさに出た。

 近大出身で「第二の故郷」と言う大阪での春場所は7勝3敗から終盤5連敗で負け越し。「強くなるためには格上とやるしかない」。直後の春巡業はほぼ連日、栃ノ心の胸を借りて汗を流した。八角理事長(元横綱・北勝海)は「もともと力はあったが、自信を持っている。不断の努力のたまもの」と称えた。

 現在西前頭8枚目で最高位は前頭5枚目。もし平幕優勝となれば昨年初場所の栃ノ心以来30人目だが、三役経験がない力士に限れば61年夏場所の佐田の山以来58年ぶりの快挙となる。新入幕の17年秋場所、翌18年名古屋場所でともに14日目に可能性が消滅するまで優勝争いに名を連ねた経験もある。

 国技館から引き揚げる際に居合わせた正代から「優勝あるよな、三賞あるよな」とハッパをかけられた。支度部屋では「(先のことを考えず)一日一番、自分の相撲を取るだけ」と無欲を強調した朝乃山も、この時ばかりは笑顔で応じた。

 ▼阿武松審判部長(元関脇・益荒雄) とにかく全ての動きが力強い。そういう部分が見えます。実力者のうちに入ってきたと思います。

 《優勝時点の最高位が平幕だった力士は?》優勝制度が制定された1909年(明42)夏場所以降、平幕優勝は28人が29度達成している。三役を経験している力士が多い中、平幕優勝の時点の最高位が平幕だったのは
 ▽09年夏=高見山
 ▽14年夏=両国
 ▽22年春=鶴ケ浜
 ▽26年夏=大蛇山
 ▽31年10月=綾桜
 ▽45年夏=備州山
 ▽60年夏=若三杉
 ▽61年夏=佐田の山
の8人。15日制が定着した49年夏場所以降は若三杉、佐田の山の2人だけ。

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