ウルフ、令和を背負う!平成最後に初日本一「思っていた何十倍もうれしい」

[ 2019年4月30日 05:30 ]

柔道 全日本選手権 ( 2019年4月29日    日本武道館 )

決勝で加藤(左)から支え釣り込み足で技ありを奪ったウルフ・アロン(右)=撮影・小海途 良幹
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 平成最後の大会は100キロ級のウルフ・アロン(23=了徳寺学園職)が決勝で加藤博剛(33=千葉県警)を下し、初優勝を飾った。すでに世界選手権(8月25日~9月1日、日本武道館)代表に内定しているウルフは、準々決勝で王子谷剛志(旭化成)、準決勝で小川雄勢(パーク24)と100キロ超級の実力者をいずれも一本で破る快進撃。2度目の世界制覇と来年の東京五輪に向けても弾みをつけた。100キロ超級の世界選手権代表には、準々決勝で敗れて連覇を逃した原沢久喜(百五銀行)に決まった。

 2年前はあと一歩及ばなかった頂点。激戦を繰り広げた畳の上で行われたインタビューで「思っていたよりも何十倍もうれしい」と話すと、頬を涙が伝った。少年時代、100キロ級で活躍した井上康生や鈴木桂治が優勝する姿に憧れ、現在指導を受ける2人に続く初優勝。「世界の100キロ級で勝つには、日本の100キロ超級には負けていられないので」と胸を張った。

 初戦で同じ100キロ級の新添悠司(大阪府警)相手に内股を仕掛けられた際、「全然微動だにしなかった」ことで好調さを実感。2年前の決勝で敗れた王子谷には、延長2分過ぎに内股で145キロの巨体を転がしリベンジ。小川戦も組み手で優位に立つと、大内刈りで有無を言わせぬ一本。決勝では90キロ級の加藤博のうまさに序盤は苦戦も、最後は支え釣り込み足で技ありを奪い「減量がなく、力を十二分に出せた」と振り返った。

 主戦場は100キロ級だが、この日の体重は普段と同じ108キロ。切れ、スピード、パワーと三拍子そろうベスト体重で戦えたことが快進撃の原動力だ。課題は減量時に、同じ力を出せるかどうか。「減量するとスタミナが不安になる」ことから、4カ月後の世界選手権に向けては普段の体重を105キロでキープ。削り幅を小さくする新たな試みに取り組む。

 01~03年に3連覇を達成している男子日本代表の井上監督からも「世界選手権、来年の五輪に向けても頼もしい」と最大級の賛辞を贈られたウルフ。「カタカナの名前の人が全日本を獲ったのは初めて。そういうのもうれしい」と平成最後に刻んだ名前を、令和の時代にさらに輝かせる。

 ◆ウルフ・アロン 1996年(平8)2月25日生まれ、東京都出身の23歳。6歳の時に講道館の春日クラブで柔道を始め、千葉・東海大浦安高では2年の時に1学年上のベイカー茉秋とともに団体戦で3冠を達成。14年4月に東海大に進学し、15、16年の講道館杯を2連覇。初出場だった17年世界選手権で優勝、昨年は5位。得意技は大内刈り、内股。1メートル81。4段。左組み。父が米国出身、母が日本人のハーフ。

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