ゴンザガ大の八村がポジション別のMVP 日本人初の快挙 J・アービング賞を受賞

[ 2019年4月13日 11:49 ]

J・アービング賞を受賞した八村(AP)
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 米バスケットボール殿堂(ネイスミス・メモリアル・バスケットボール・ホール・オブ・フェイム)は12日、全米大学男子バスケットボールのポジョシン別MVPを発表。スモールフォワード部門の「ジュリアス・アービング賞」には、最終候補5人の中からゴンザガ大の八村塁(3年)を選出した。

 同賞を含む5つのポジション別MVPの選出は2014年に始まっているが、その後全員がNBAドラフトで1巡目指名を受けているジュリアス・アービング賞の過去の受賞者はいずれも米国出身。米国以外の選手の選出は八村が初めてとなった。

 ジュリアス・アービング氏(69=2メートル1)はマサチューセッツ大時代の2シーズンで平均26・3得点、20・2リバウンドをマーク。1971年、当時NBAの対抗組織だったABAのバージニア・スクワイアーズに入団し、大学時代には禁止されていたダンク・シュートをプロの世界で“爆発”させて北米プロスポーツ界を象徴するトップ・アスリートになった。

 ABA時代には2度の優勝とシーズンMVP、さらに3度の得点王を経験。ABAがNBAに合併された1976年、当時在籍していたABAのニューヨーク・ネッツはNBAへの加盟料の320万ドルが払えず、NBAのフィラデルフィア76ersとの金銭トレードでアービング氏を放出した。そして同氏は1983年に76ersでファイナル制覇に貢献。1984年にマイケル・ジョーダン(ブルズ)がNBAでデビューするまで、米国の少年たちのあこがれは、そのほとんどが「ドクターJ」と呼ばれていたアービング氏に向けられており、まさに国民的英雄だった。

 そのスーパースターの名を記した賞を日本から海を渡った八村が獲得。今季平均19・7得点、6・5リバウンド、フィールドゴールの成功率59・1%は同賞の最終候補5人の中では最高成績で、今季のNCAAトーナメント(全米大学選手権)で初優勝を飾り、決勝で27得点を挙げたバージニア大のディアンドレ・ハンター(2年)らを押しのけて堂々の受賞を果たした。

 「ジュリアス・アービング賞」を受賞したスタンリー・ジョンソン(15年=アリゾナ大)ら4選手はいずれもその2カ月後にNBAドラフトで1巡目指名を受けた選手。八村にとっては今後につながる貴重な“勲章”になった。

 八村のサイズは2メートル3、104キロ。今季は通称「3番」のスモールフォワード(SF)よりも「4番」のパワーフォワード(PF)でプレーする機会が多かったが、過去の受賞者も「2番」のシューティングガード(SG)からPFまでとプレースタイルは幅広く、八村は今季開幕前のノミネートではSF部門に名前が挙げられていた。

 なお「1番」のポイントガード部門(ボブ・クージー賞)ではマーリー州立大のジャー・マラント(2年)、「2番」のSG部門(ジェリー・ウエスト賞)ではデューク大のR・J・バレット(1年)、「4番」のPF部門(カール・マローン賞)」では各米最優秀選手の各賞を総なめにしたデューク大のザイオン・ウィリアムソン(1年)、「5番」のセンター部門(カリーム・アブドゥルジャバー賞)ではウィスコンシン大のイーサン・ハップ(4年)が選出された。

 6月に開催されるNBAドラフトの上位3番目までの指名予想はウィリアムソン→モラント→バレット。八村は事前の予想では10番台半ばから20番台前半での指名が予想されている。

 「ジュリアス・アービング賞」の過去の受賞者と今季の最終候補は下記の通り。

 <J・アービング賞過去の受賞者>

 ▼2015年=スタンリー・ジョンソン(アリゾナ大=NBAドラフト1巡目、全体8番目指名、現ペリカンズ)
 ▼2016年=デンゼル・バレンティン(ミシガン州立大=同1巡目、全体14番目指名、現ブルズ)
 ▼2017年=ジョシュ・ハート(ビラノバ大=同1巡目、全体30番目指名、現レイカーズ)
 ▼2018年=ミケル・ブリッジズ(ビラノバ大=同1巡目、全体10番目、現サンズ)

 <J・アービング賞・今季の最終候補5人>

 ▼八村塁(ゴンザガ大3年=今季33勝4敗)2メートル3、104キロ、19・7得点、6・5リバウンド、FG成功率59・1%
 ▼マリアル・シェイアク(アイオワ州立大4年=今季23勝12敗)1メートル98、93キロ、カナダ出身、18・7得点、4・9リバウンド、FG成功率49・6%
 ▼キャレブ・マーティン(ネバダ大4年=今季29勝5敗)2メートル1、93キロ、米国出身、19・2得点、5・1リバウンド、FG成功率40・9%
 ▼アドミラル・スコーフィールド(テネシー大4年=今季31勝6敗)1メートル98、109キロ、英国出身、16・6得点、6・1リバウンド、FG成功率47・4%
 ▼ディアンドレ・ハンター(バージニア大2年=今季35勝3敗、全米王者)2メートル1、102キロ、米国出身、15・2得点、5・1リバウンド、FG成功率52・0%

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