沙羅涙 銅にも「情けない」 世界選手権4度目も初V届かず

[ 2017年2月26日 05:30 ]

ノルディックスキー世界選手権第3日 ( 2017年2月24日    フィンランド・ラハティ )

表彰式後に涙ぐむ高梨沙羅
Photo By 共同

 W杯総合女王の高梨沙羅(20=クラレ)がまたしても一発勝負の怖さを思い知った。1回目に98メートルで2位につけたが、2回目は95メートルにとどまり、合計251・1点で3位。まさかのメダルなしに終わった14年ソチ五輪に続き、4度目の挑戦となった世界選手権でも個人戦の金メダルはやはり遠かった。伊藤有希(22=土屋ホーム)が97メートル、96・5メートルの合計252・6点で2大会連続の銀メダル。ソチ五輪金メダルのカリーナ・フォクト(25=ドイツ)が1回目の3位から逆転して連覇を達成した。

 伊藤と並んでテレビインタビューを受ける間に少しずつ瞳は潤んでいった。気丈に見せても次から次へと悔しさはあふれ出す。インタビューを終えた後、頬を伝った涙を高梨は手で拭った。

 「またやってしまった。同じことを繰り返す自分に情けない気持ちでいっぱい」

 小学生の頃から慕う山田いずみコーチ(38)の胸で泣いた。それはまるで悪夢のソチ五輪の再現シーンのようでもあった。

 「まずまずいいジャンプが飛べた」という1回目は2位につけた。上位4人が4・2点差の中にひしめく混戦で、首位との差は飛距離にして約1・5メートル。金メダルは手の届くところにあった。しかし2回目は「いいところを見せたいという気持ちで力んでしまった」とバランスを崩し、飛型もぶれた。95メートルと伸びずに3位。夢はついえた。

 「大事な試合にピークを持っていく力が足りない。根本的なところから変えていかないといけない」。W杯53勝を挙げている女王に技術的な瑕疵(かし)があるとは思えない。直近のW杯では5戦4勝。調子も悪くなかった。だが勝てない。前々回はヘンドリクソン(米国)に競り負け、ソチ五輪と前回大会は表彰台すら逃した。今季W杯では通算50勝が懸かった日本4連戦で勝てず、平昌五輪プレ大会の初戦でも優勝を逃した。

 高梨の言う「大きな試合に合わせていく力」。フォクトの活躍を見ればそれを認めざるを得ない。ソチ五輪金メダリストは今季W杯で未勝利ながら見事に連覇を果たした。大舞台のたびに輝くフォクトが何かを“もっている”のは間違いない。

 1回目首位のルンビー(ノルウェー)の失速により、高梨も2大会ぶりのメダルは確保した。「メダルを持ち帰ることができて、何とか自分を保てている」。大きな失望とともに再び刻み込まれた心の傷。“大舞台で高梨は勝てない”。1年後の平昌で、またそのジンクスと向き合わなければならない。

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2017年2月26日のニュース