桃田 東京五輪「全く見えない」田児は涙「桃田にチャンスを」

[ 2016年4月9日 05:30 ]

責任を負い、桃田(右)の処分軽減を涙ながらに懇願した田児

 バドミントン男子シングルスのエース・桃田賢人(21)と12年ロンドン五輪代表の田児賢一(26=ともにNTT東日本)が東京・錦糸町の違法カジノ店でバカラ賭博をしていた問題で8日、両選手が都内で謝罪会見を行った。所属先の調査では桃田、田児以外の部員6人(OB2人を含む)も違法賭博をしており、田児が部内で1000万円を超える借金をしていたことも明らかになった。社内的には解雇、日本バドミントン協会からは除名まで含めた厳しい処分が検討されそうだ。

 桃田は田児とともに前日までの茶髪から黒く髪を染め、神妙な面持ちで会見場に現れた。10台を超えるテレビカメラ、無数のフラッシュを浴びながら「ここまで報道が大きくなると思わなかった。本当に軽率だった」と深々頭を下げた。

 リオ五輪のメダル候補が道を踏み外したのは14年10月だった。先輩の田児に連れられ、東京・錦糸町の違法カジノ店に足を踏み入れた。違法と知りながらも「勝負の世界で生きている以上、やっぱりギャンブルに興味があった。抜けられない自分がいた」と賭博を繰り返した。「カジノに行ったのは6回程度。1回10万円ぐらい持っていって、これまで合計50万円くらい負けた」

 14年12月に全日本総合選手権決勝で敗れたことをきっかけに「自分の中で世界のトップと戦いたい思いが出てきた」と15年1月を最後にカジノ通いを絶った。そこから国際大会でも結果を残したが、今年に入ってプロ野球で賭博問題が大きく報じられると「人ごとではないと思った。怖くて誰にも言えなかった」と不安を覚えていたという。

 元凶となった田児はもっと深刻だ。ケガで時間を持て余していた14年10月に錦糸町の路上で声をかけられ、ギャンブル好きの性格もあってのめり込んだ。月6ペースで合計60回ほど通い詰め、合計の負け金は約1000万円。錦糸町の店が摘発を受けた後は横浜の店に移り、今年1月まで違法賭博を繰り返した。

 桃田以外にも6人の部員を誘い、違法賭博に手を染めさせ、部内で1150万円(現在650万円は返済)の借金もしていた。ここにいたってようやく事の重大さを理解した様子で、涙を流しながら「自分の立場で言うのもおかしいが、もう一度桃田にチャンスを与えてやってほしい」と将来のある後輩を気遣った。

 会見に同席したNTT東日本の榊原明総務人事部長は、社会的な影響も踏まえて「厳しい処分にならざるを得ない」と語った。同社の処分規定には注意、減給、出勤停止などがあり、最終的な調査結果を待って最も厳しい解雇まで含めて検討される。リオ五輪への派遣が絶望的となった桃田は、4年後の東京五輪についても「この先どうなるか分からなくて、4年後なんか全く見えない。今はただ反省の気持ちでいっぱい」と言うことしかできなかった。軽率な行動が招いた大きな代償。ここからイバラの道が待っている。

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2016年4月9日のニュース