男子バスケ16年ぶり決めた!田臥で4強

[ 2010年11月25日 06:00 ]

<日本・北朝鮮>レイアップシュートを放つ田臥

 広州アジア大会バスケットボール男子準々決勝で、1次リーグF組1位の日本は同E組4位の北朝鮮に92―75で快勝し、銅メダルだった94年広島大会以来16年ぶりのベスト4進出を決めた。主要国際大会に初参戦の司令塔、田臥勇太(30=リンク栃木)は13分間の出場で8得点とまずまずの活躍を見せ、北朝鮮びいきの観客の大ブーイングを最後は沈黙させた。

 完全アウェーの雰囲気を田臥が打ち破った。日本がボールを持つたびに起こる大ブーイングの中、開始直後にドライブで切れ込んでのジャンプシュートで日本最初の得点を決めた。高さはないが、果敢に1対1を仕掛けてくる北朝鮮に序盤は手を焼いたが、司令塔として冷静にゲームをコントロール。フリースローも4本確実に沈め、日本は前半で20点差をつけた。そのままの勢いで後半も押し切ると、強烈だったブーイングは次第に収まり、約3500人で満席だった観客席も最後はガラガラになった。
 「よほど嫌われているのかなと思うけど、逆に“見てろよ”という気持ちになる。国を代表するとはこういうことだと思う」
 反日感情の強い中国での今大会、日本は常に客席を敵に回すアウェー状態だ。視察に訪れた日本選手団の市原則之団長も「中国は北朝鮮を応援する。ブーイングはいつもこんなもの」と不利な状況を認める。それでもブーイングを力に変えて、16年ぶりのベスト4に駒を進めた。
 かつては常にアジアのトップ3に入っていた日本も、中東勢の台頭もあって近年は低迷。昨年のアジア選手権で史上最低の10位に沈んだ。だが、今季はNBAでプレーした経験のある田臥が初めて代表活動にフル参加。五輪や世界選手権出場を逃し続けて負けグセのついたチームに「(世界に)行かないと恥ずかしい」というプライドを持ち込んだ。田臥の初の主要国際大会となった今大会はアジア王者のイランも破って1次リーグ1位通過。「試合を重ねるごとに一体感が出ている」とチームは進化を遂げている。
 25日の準決勝の相手は宿敵・韓国。「自分たちはチャレンジャー。戦う気持ちを出してぶつかっていきたい」。16年ぶりのメダル獲得へ向けて慢心はない。

 <無言貫く北朝鮮>8年ぶりの国際大会出場だった北朝鮮は謎に包まれたままだった。会見でチームの強化態勢や国内のバスケット事情について聞かれたジ・ウンシク監督は「私の立場では何も言えない。理解してほしい」と言って、何も明かさなかった。海外メディアが前日の韓国への砲撃に触れた上で「帰ったら、日本に負けたことをどう報告するのか」と質問したが、同監督は無言を貫いた。

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2010年11月25日のニュース