負けたと思ったら…魁皇3年半ぶり10連勝

[ 2010年11月25日 06:00 ]

一度は土俵際まで追い込まれるも、引き落としで豪風を下した魁皇(上)

 大相撲九州場所11日目は24日、福岡国際センターで行われ、大関・魁皇が不利な体勢から豪風を引き落とし、2日目からの連勝を「10」に伸ばした。10勝1敗として優勝争いのトップに並んでおり、38歳での奇跡の優勝も見えてきた。横綱・白鵬は関脇・鶴竜を危なげなく寄り切り、大関・把瑠都も嘉風を寄り切ってともに1敗を堅持。平幕の豊ノ島を含む4人がトップに並んでいる。

【取組結果
星取表


 まさに神懸かりだ。豪風のはたき込みから体勢を崩し、後ろを取られ、絶体絶命のピンチを迎えた。しかし、そこから奇跡が起きた。魁皇が体勢を立て直そうと左にクルッと回った瞬間、豪風の足がずるりと滑った。「駄目だと思った。向き直そうと思ったら相手が勝手に落ちていた」と、本人も驚きの勝利だった。
 決まり手は引き落としとされたが「あんなんで勝つのはなかなかない」と舌も滑らか。幕内出場1400回とし史上1位の高見山にあと30回と迫ったことには「そんなことはどうでもいい」と意に介さなかったが、1敗を堅持し、04年秋場所以来の優勝が現実味を帯びてきただけに、機嫌が悪いはずがない。
 持病の右ひざ痛を抱えている。場所に入ってからは連日深夜11時まで治療に時間を割いている。その上、前日の栃煌山戦で左手親指を突き指。「ひざは少し痛い。指も凄く痛いし力が入らない」。それでも勝ち続ける理由を「動いていればなんとかなる」と説明した。
 所属する友綱部屋の九州場所宿舎は以前病院だった施設を使っている。築30年以上の平屋だが、友綱親方(元関脇・魁輝)は「居心地いいよ」と豪快に笑う。十両の魁聖は元診療室、師匠は元看護師控室、魁皇は約10畳の元エックス線撮影室を自分の部屋にしている。元エックス線撮影室のため窓がなく昼間でも暗い。だが8年前から毎年、九州場所の寝床にしてきた。「今年ももちろん」。住み慣れた部屋で心と体を癒やし土俵に上っている。
 過去5回の優勝を誇る魁皇だが、ご当地の九州場所だけは制していない。「優勝に向け追い風が吹いている?」と尋ねられると「全くない」と笑ったが、帰り際には「あきらめないで頑張る」とつぶやいた。

 ▼豪風 思い切り滑りました。流れは完全に自分のものだった。今場所の大関は何かを引き寄せている。そういう感じ。

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2010年11月25日のニュース