豊ノ島 快挙へ本腰!技量と執念で1敗堅持

[ 2010年11月25日 20:08 ]

 【大相撲九州場所】前進してくる巨体が突然、崩れ落ちた。平幕の豊ノ島は大関把瑠都との1敗対決を制し、信じられないといった表情で勝ち名乗りを受けた。「ツキですよ。ツキばっかり」と謙遜するが、賜杯の話題に視線が鋭くなった。「目指すんじゃなくて、狙っていかないといけない」。2006年初場所の栃東(現玉ノ井親方)以来の日本人力士の優勝を見据えた。

 右上手を引きつけられるが、左は何とか封じてまわしを許さなかった。これが生命線になる。土俵際に詰まり「右から体をひねってから(左を)振ったらタイミング良くという感じかな」と、逆転の左下手ひねりを分析する。身長169センチの相撲巧者の技量と執念が勝利を引き寄せた。
 場所後には部屋の創始者の双葉山と、七回忌を迎える祖父の墓前に手を合わせる予定だ。「おじいちゃんは小学生のときから全国大会に応援に来てくれた。いい報告をできるように。狙っていく」。野球賭博関与で謹慎し、十両に転落もした1年だった。元関脇も土俵で勝つことしか道は切り開けない。「14勝1敗でいけば優勝につながる。意識していきます」と、快挙を真剣に狙う残り3日間となる。

 ≪優勝争い一歩後退≫把瑠都が優勝争いから一歩後退した。豊ノ島の肩越しから右上手を取り、体を預けながら寄ったが右ひざからがくっと落ちた。「滑ったというわけじゃないよね。慎重に前に出ればよかった」と振り返った。
 2日目に白鵬の連勝が途絶え、把瑠都にとって初優勝を果たす大きなチャンスだった。目前にあった白星を取りこぼしたが、「あしたから全部勝てばいいから」とあっけらかんとしていた。

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2010年11月25日のニュース