OB3発…遼くん、屈辱まみれの3年連続予選落ち

[ 2010年5月15日 06:00 ]

13番ホール、2打目で2回のOBを叩き、ドロップする石川遼

 男子ゴルフツアー・日本プロ選手権日清カップヌードル杯第2日は14日、長崎県長崎市のパサージュ琴海アイランドゴルフクラブ(7060ヤード、パー70)で行われ、今月2日の中日クラウンズ最終日に“世界新”の58ストロークをマークした石川遼(18=パナソニック)が78を叩き、日本プロ3年連続予選落ちの屈辱を味わった。首位と4打差の17位から出たもののOB3発とショットが乱れ、バーディーなしの3ボギー、1ダブルボギー、1トリプルボギーで78。通算7オーバーの80位にとどまり、カットラインに3打足りずに決勝ラウンド進出を逃した。64で回った平塚哲二(38=甲賀CC)が通算8アンダーで単独首位に立った。

 2週前に世界記録の58を出したオーラはどこにもなかった。11番を終えた時点で通算4オーバー。もう表情にも余裕がない。「カットラインのボーダーあたりにいる」と考えた石川はイーグル、バーディーを狙い、13番パー5で賭けに出た。
 右セミラフからの第2打は残り260ヤード。だが、ピンのあるグリーン左サイドの手前はOBゾーン。しかも、林がそびえ立っている。「ライも前上がりで良いショットを打てる状況じゃなかった。でも、狙うしかなかった」。3Wを握っての一打は打ち急ぎ、木に当たってそのままOB。打ち直しの第4打も届かず、まさかの連続OBとなった。顔を引きつらせながら第6打でようやくグリーンに乗せたが、ピンまではまだ15メートル。6オン2パットのトリプルボギーで賭けに敗れ、予選通過は遠のいた。
 石川にとっては実力を試された2オン狙いだった。「グリーンに乗る確率が低い状況でも打てる選手を見てきた」とP・ミケルソンやA・キム、R・マキロイらの名を挙げた。「自分も狙った所に打てるようにならなきゃいけないという気持ちで練習してきた」分、ショックは大きかった。
 今コースのグリーンは傾斜がきついうえ、硬くて速かった。「打ち方も飛距離も球筋も変わる」ラフからのショットでは球を止めにくく、いかにティーショットをフェアウエーに置くかがポイント。しかし、フェアウエーをキープしたのは14ホール中2ホールだけで、再三、アプローチにてこずった。第1打を左の斜面に曲げて第2打をOBとしたように、プロ初の1日OB3発はすべてフェアウエーを外したセカンド地点から。生命線のドライバーが曲がれば、「自分のゴルフをさせてもらえない」。プロ転向後初のバーディーなしも当然だった。
 昨季賞金王になり、中日クラウンズでは58も記録。「今年はいけるという自信があった」が、結果は同じパー70で58から20打も多い78での予選落ち。「実力の差が出るコースで、まだ力がないんだと確認させられた」と、プロ日本一を決める大会でゴルフの難しさを思い知らされた。メジャー最年少優勝の夢が2日で消えた18歳は「また来年挑戦します」と唇をかみ、会場を去った。

 ≪07年8月以来のOB3発≫石川は4月のマスターズで2年連続の予選落ちを喫したが、3年連続は日本プロ選手権が初めてとなった。また、連続OBは昨年のミズノオープンよみうりクラシック以来で、1ラウンドOB3発となると07年8月の全国高校選手権・団体戦以来。また、攻撃的なゴルフが持ち味の石川が1ラウンドでバーディーを取れなかったのは07年のブリヂストン・オープン第2日以来で、プロ転向後ではこれも初めてとなった。

 ◆石川遼の日本プロ
 ★08年発熱(群馬・レーサムゴルフ&スパリゾート、7127ヤード、パー72) プロ転向後初のメジャー大会となったが、大会前に過労が原因で発熱し、体調を崩すと調子は戻らぬまま。第1日は1オーバーで踏み止まったが、第2日に崩れて通算6オーバー、112位で予選落ちした。
 ★09年フック病(北海道・恵庭CC、パー70)初日は雨で中止。最終日を36ホールとして3日間に短縮された。石川は体の回転にヘッドスピードが追いつかず、ティーショットでフックが出て初日はOBを2発。4オーバーで出遅れると翌日もスコアを2つ落とし、3打差の通算6オーバー、83位で決勝ラウンド進出を逃した。

 ≪父は冷静「そんなに悪くない」≫石川の父・勝美氏はOB連発による予選落ちも冷静に受け止めた。3番の2打目については「グリーンの左側に落とそうとして、少しフェースがかぶってしまった」と分析。立て続けにOBを打った13番も「あそこはどうしてもイーグルかアルバトロスが欲しい。それはそれでいい」と攻め方を否定することなく、「ゴルフはそんなに悪くない」と語った。

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2010年5月15日のニュース