“日本代表”霜鳳、白鵬&把瑠都と並走6連勝

[ 2010年5月15日 06:00 ]

嘉風(手前)をはたき込みで下し6連勝の霜鳳

 大相撲夏場所6日目は14日、東京・両国国技館で行われ、平幕の霜鳳が嘉風をはたき込みで破り、日本人力士で唯一、初日から6連勝を飾った。これまで悩まされていた腰の状態が良く、かつて大関候補と言われた実力を発揮。外国勢が目立つ序盤戦で孤軍奮闘している。白鵬と把瑠都も土つかずの6連勝。大関・魁皇、琴欧洲が2敗目を喫し、1敗は朝赤龍、白馬、阿覧、猛虎浪の4人となった。

 日を追うごとに、視界に入る報道陣が増えてきた。日本人でただ1人全勝を守った霜鳳は20人以上の記者の前でひたすら照れていた。初日からの6連勝は十両時代の07年九州場所と並ぶ自己タイ記録で、6連勝自体も幕内では04年名古屋場所以来。めったにない質問攻めに「たまたまです。恥ずかしいですよ」と苦笑いを浮かべ、周囲の祝福の嵐にも「しんどいです」と本音ものぞかせた。
 嘉風戦は立ち合いで右から突き上げて圧力をかけ、バランスを崩した相手をそのまま前のめりにさせた。初日から験担ぎで伸ばしているひげをさすりながら「今場所は体も動けている。右を締めながら当たった。相手が低かったし、よく見えている」と分析。優勝争いの話を振られても「たまたまです。まずは勝ち越したい」と迷惑そうに話した。
 東農大時代に全日本選手権2位などの実績を残し、鳴り物入りで入門。一時は大関候補とも言われ、先々代の師匠のしこ名「豊山」襲名が噂された時もあった。しかし、5年前に「腰椎(つい)間板ヘルニア」を発症し、そこから苦悩の日々を送った。腰痛が何度も悪化し、十両も長く経験。稽古もろくにできない状況が続いていたが、最近は腰の不安が和らいだ。場所前には普段より30分以上も早く稽古場に下りて、幕内・土佐豊と15番前後の三番稽古を消化してきた。
 今場所は4月に幼稚園に入園した長男・葵くん(3)が初日、2日目と国技館で声援を送った。場所中はゆっくり接する機会が少ないが、家族への思いは誰よりも強い。帰り際、携帯電話に保存している愛息の写真をながめた霜鳳はこう打ち明けた。「息子が小学生になるまでは幕内を続けたい」。ケガに泣かされた大器が、再び輝こうとしている。

 ◆霜鳳 典雄(しもとり・のりお=本名霜鳥典雄)1978年(昭53)3月18日、新潟県新井市(現妙高市)生まれの32歳。東農大から時津風部屋に入門し、00年夏場所で幕下付け出しで初土俵。01年夏場所で新十両。02年春場所で新入幕。04年春場所で新小結に昇進した。得意は右四つ。02年名古屋場所の武蔵丸戦で横綱初挑戦で初金星を挙げ、敢闘賞を受賞。幕内在位は33場所。1メートル88、139キロ。血液型B。家族は純夫人と長男・葵くん。

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2010年5月15日のニュース