38歳ライジング!伊達が世界に帰って来た

[ 2009年1月18日 06:00 ]

13年ぶり4大大会本戦出場を決めたクルム伊達公子

 世界のDATEが4大大会に戻ってきた!テニスの4大大会今季初戦の全豪オープン(19日開幕)の予選が17日、メルボルン・パークでで行われ、女子シングルス3回戦で世界ランキング184位のクルム伊達公子(38=エステティックTBC)が、同416位のマリヤ・ミルコビッチ(18=オーストラリア)を7―5、6―1で下し、96年の全米オープン以来13年ぶりとなる4大大会本戦出場を決めた。38歳という高齢で予選突破を果たした伊達は、19日の本戦1回戦で第25シードのカイア・カネピ(23=エストニア)と対戦する。

 世界の檜(ひのき)舞台への復帰を告げるショットが決まると、伊達は拳を握りしめた。予選3回戦を突破した12人に与えられる本戦出場枠をめぐって、世界中の選手がしのぎを削る戦いを勝ち抜いた。欧州で最も有名な日本人スポーツ選手と言われた「世界のDATE」が、13年を経て4大大会に帰ってきた。
 04年ウィンブルドン選手権で1勝したマルチナ・ナブラチロワ(米国)の47歳には及ばないが、38歳での4大大会本大会出場は異例だ。「終わった時は信じられないというか…。予選を3回、勝ち抜くことの難しさは分かっていたので、いろんな思いがこみ上げてきた」。さすがの伊達も感慨深げに汗をぬぐった。
 元世界4位の勝利への執念が、18歳の地元のホープの野望に勝った。第1セット第10ゲーム。9度のジュースの末に4大大会シングルス初出場を狙うミルコビッチに取られ、5―5に追いつかれた。ライジングと呼ばれる伊達のテンポの速いショットは、スピンを利かせ、高く弾む相手のショットに封じられた。
 だが、ここで集中力を高めたのは伊達だった。続く第11ゲームをブレーク。第12ゲームは一度、ブレークポイントを握られながら奪い返し、第1セットを先取した。勝負はあった。勢いに乗った第2セットは6―1で圧倒。「気持ちで上回らないと勝ちはもぎ取れない。勝ちにこだわること」。勝利への執念が、年齢差をはじき飛ばした。
 12年ぶりに現役復帰した昨季は国内を中心に戦った。少しずつ調子を上げ、日本一を決める全日本選手権で若手を次々と破って16年ぶりに優勝。当初は出場しないはずだった海外ツアーに、今季から再び戻ることを目標に掲げた。しかし、すでに38歳。挑戦は無謀という見方もあった。
 伊達が最後に4大大会に出場した96年全米オープンで優勝したのは、シュテフィ・グラフ(ドイツ)。最強を誇った女王をはじめ当時の上位選手は全員、引退した。21歳のホープだった杉山愛(ワコール)ですらすでに33歳。今大会の上位シード選手は全員20代で、かつての伊達と戦ったことがある選手はいない。
 しかし、伊達は言う。「体力的な問題はない。だから、年齢を気にすることはない」。1回戦の相手は昨年の全仏オープンでベスト8に入った世界27位のカネピ。「これで満足せず、やっとスタートラインに立ったと思って、本戦は3試合戦っているアドバンテージを生かしていきたい」。伊達にとって、本戦出場は到達点ではない。

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2009年1月18日のニュース