ミラクル上野 ノーヒットノーラン4冠締め

[ 2008年11月10日 06:00 ]

7回裏(豊)2死、最後の打者・小森を打ち取りノーヒットノーランで優勝、ベンチに向かって万歳する上野

 日本女子ソフトボールリーグ(スポニチ後援)は決勝トーナメント最終日を9日、京都・西京極野球場で行い、上野が伝説の1年を華麗に締めくくった。決勝でルネサス高崎が3連覇を狙った豊田自動織機を7―0で下し、3年ぶり7度目の優勝。上野由岐子投手(26)が、01年のミッシェル・スミス投手以来史上2人目となる決勝でのノーヒットノーランを達成した。北京五輪に加え全日本総合、国体、日本リーグの4冠を達成した上野は、08年のソフトボール界を完全制覇した。

 最後は両腕を天に突き上げ、駆け寄った選手たちと人さし指で“No・1ポーズ”をつくった。決勝では史上2人目、日本人としては初のノーヒットノーラン。3連覇を狙った強敵を1四球だけに抑え込み、史上最多の1万1000人の観衆の度肝を抜いた。
 「神様がいるんだなあ、と。26年間生きてきた中で、最高の1年でした」。そう振り返った至福の08年を締めくくる決勝戦。意外にも「北京でピッチングに自信が持てるようになった」という26歳は、5回の三科の先制ソロで「勝った、と思った」という。奪三振は6個だったが、外野への打球も2個だけ。日本リーグには各国の代表がそろうため、五輪のために過去2年は封印してきたシュートを交え、凡打の山を築いた。
 北京後の取材やイベントをソフトボール普及のためにこなしたが、一方で悩みは「練習時間がとれないこと」だった。しかし、古川雅貴トレーナーは「頭が変わった分、体をどうすればいいか自分で考えられるようになった」と説明する。味方の攻撃時間中にダッシュなど基礎練習も行い、体調を管理。シーズン最後の試合で「100点の投球ができた」のは、当然の結果でもあった。
 ソフトボール選手が求めるすべてのタイトルを手にした08年。それでも「来年は(リーグを)連覇したいし(6連覇中の)全日本総合の7連覇もしたい」とモチベーションは落ちていない。今オフには打撃練習に取り組むことも決まり、来季は打者・上野も披露する。「今回集まってくれた多くのファンが、来年からも減らないようにするのが使命」と表情を引き締めた鉄腕が、最高のアスリートになった。

続きを表示

2008年11月10日のニュース