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間違いなく日本サッカーは新時代に突入した

国際親善試合   日本3-0コスタリカ ( 2018年9月11日    パナS )

コスタリカ戦、ゴールを決めた日本代表FW南野拓実
Photo By スポニチ

 あまりにも痛快すぎて、かえって釈然としない思いが込み上げてきてしまったのだが、それはさておくとして――。

 長い間日本代表を見てきたが、こんなにも未完成で、それでいながらこんなにも胸を躍らせてくれたチームは、かつてなかった。韓国が2―0で勝った相手を、それ以上のスコアで倒したというのも素晴らしい。

 振り返ってみれば、もう何年もの間、わたしにとっては「不在」が代表の試合を見る上でのキーワードだった。誰かがいない。ストライカーがいない。リーダーがいない。安定感のあるGKがいない。個人の力で勝負できる選手がいない――。

 それがどうだろう。この試合に関しては、何らかの「不在」を感じたことはまるでなかった。

 考えてみれば、凄いことだ。長年キャプテンを務めてきた長谷部は代表を引退した。ロシアでスターになった乾や大迫はいなかった。本田も、香川も、長友も、つまりは近年の日本代表を牽引(けんいん)してきた顔触れは皆無だったにもかかわらず、その抜けた穴の大きさを痛感させるような場面はついぞなかった。

 というより、ロシアで戦った選手たちの入り込む余地が見えなくなってしまった。

 間違いなく、日本サッカーは新しい時代に突入した。

 ロシアで納得のいく戦いをしたことが、日本サッカー全体の自信につながったのだろう。森保監督率いるチームはまだまだ全くもって未完成だが、監督以下、誰一人として自分たちがやろうとするサッカーの方向性に迷いを抱いていないように感じられた。世界が相手でも自分たちのやり方を貫こうとした者と、世界と戦うのであればやり方を変えなければと考える者が混在していた時代が、どうやら、終わろうとしている。

 わたしが何よりうれしかったのは、生まれたてのこのチームが、わずか90分の間に明らかな熟成を感じさせてくれたことである。「お、お前そんなことやんのか」「だったら俺はこんなことを」――選手たちのそんな声なき声が聞こえてきたような気もした。訓練されたものではない、アドリブと感性によるハーモニーには、世界のどこに出しても恥ずかしくない美しさがあった。

 中島、素晴らしかった。南野、素晴らしかった。遠藤、素晴らしかった。何が素晴らしかったかといって、匂い立つような猛獣の気配が素晴らしかった。彼らは、日本にいた時よりも格段に獰猛(どうもう)なプレーをするようになっていた。味方にとっては頼もしく、相手からするとタフで危険な存在になっていた。

 しかも、ベンチには、いや、今回招集されなかったメンバーの中にも、虎視眈々(たんたん)とレギュラーの座を狙っている者たちがいる。いわゆる「大物」たちの不在をまるで感じさせない試合をやったにもかかわらず、誰一人として立場が安泰でないというのも素晴らしい。

 とにかく、初陣としては文句のつけようのない、最高の試合だった。最高すぎて、つい釈然としない思いが込み上げてきてしまった。

 なぜこのメンバーは、ロシアに行けなかったのだろう、と。(金子達仁氏=スポーツライター)

[ 2018年9月14日 12:20 ]

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