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なでしこ 悪夢のリオ五輪不出場知る熊谷「もう一度繰り返しちゃいけないという思いは凄く強かった」

[ 2024年2月28日 23:00 ]

パリ五輪アジア最終予選第2戦   日本2―1北朝鮮 ( 2024年2月28日    国立競技場 )

<サッカー女子 日本・北朝鮮>パリ五輪出場を決め、喜びを分かち合う熊谷(左)と池田監督(撮影・木村 揚輔)
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 サッカー女子日本代表「なでしこジャパン」(FIFAランク8位)は28日、東京・国立競技場で北朝鮮(同9位)と対戦。パリ切符が懸かった大一番は、前半26分にDF高橋はな(24、三菱重工浦和)が先制ゴール、後半31分に藤野あおば(20、日テレ東京V)がチーム2点目を頭で叩きこむなど北朝鮮との激闘を制し、2大会連続6度目の五輪出場を決めた。

 緊迫の一戦を制した熊谷紗希(33、ローマ)は、勝利の瞬間、安堵(あんど)の涙を止められなかった。そして目を潤ませながら勝利インタビューに現れた主将は「本当に正直に一言…ホッとしています」と素直な思いを吐露。そして大きな声で「本当にうれしいです。ありがとうございました!」と2万777人が駆け付けた国立のスタンドに感謝の思いを伝えた。

 熊谷との一問一答は以下の通り。

 ――正直な感想は。
 「ホッとしています。その一言に尽きる。良かったなと思っています」

 ――3バックについて。
 「第1戦で相手のロングボールというか、相手の懐に対してディフェンスラインが落ちちゃう傾向にあった。なかなかボールにプレッシャーをかけられなかった。それが3枚になることで誰が出るのかハッキリするし、今日は前で勝負できたところがあった。1戦目から修正することができて良かった」

 ――試合開始からボールの取りどころがハッキリしていた。

 「そうですね。基本的に前半から守備面でも攻撃面でも自分たちの立ち位置で優位なところに立てているなというのはあった。相手の食いつきに対してフリックとかのアイデアは、この短い期間ですけど、凄く準備してきた。狙ったところで取れたシーンを何度もつくれていた。先制点はセットプレーからですけど、その中でチャンスをつくって、ゴールを決めて…2―0だったので最後は押し込まれるのも正直、想定内だった。ちょっと苦しく押し込まれましたけど、それでも今日は勝つことが全てだったので、勝って、切符を勝ち取れて良かった」

 ――失点後の円陣では。

 「まあ落ち着こう、と。自分たちが勝っていることは絶対忘れないこと。そして向こうが来るしかなかったし、メンバーも変えて勢いが増すことは分かっていたのでハッキリやろうと。ちっちゃいことやらないで、自分たちのプレー、大きいことをやろうというのを再確認して残りの時間戦おうと話しました」

 ――3バックへの回帰。

 「アジア2次予選…その少し前から4-1-4-1システムを自分たちのオプションとしてやっていく中で、第1戦は自分もピッチに立っていた身ですけど、この相手にはミスマッチが起こっているというのは実際に感じていた。相手によって使い分けられるようになれば、もう少し…選手の組み合わせやフォーメーションも含めて自分たちのオプションにはなると感じている。今日に関しては相手があの形で来るなら3枚の方がいいのかなというところは1戦目で感じていて、監督もそういった指示をみんなに出してくれて、準備をしてきた。まだまだズレとかはあるかと思いますけど、それでもパンと3枚に戻して皆が立ち位置を確認しながらできたのはW杯での積み上げがあったからだと思っている」

 ――山下さんのビッグセーブ。

 「いや、おっきいですよね。あそこで失点していたら、また全然違った展開になっていた。だいぶ相手のフラストレーションもたまったと思う。実際、入ってなかったですけど本当にビッグセーブで、チームを救ってくれたのは大きな力になりました。凄く助けられましたね。もちろん山(下)だけじゃなく、全員で助け合えた試合だったなとは思いますけど」

 ――アジア予選の難しさを痛感。

 「そうですね。その話は第1戦前にもちょっとしていて…でもみんなでサウジアラビアに行って、戻ってきて、試合して…予選の難しさは凄く感じている。多方面で。そして今日も簡単な試合じゃないことはみんなが分かった上で試合に入っていた。本当に難しい試合でしたけども、勝つことが全ての中、勝って、次を決められた。本当に良かった」

 ――なでしこの歴史を最も知っている。

 「リオ予選で敗退した後、凄く長くやってきたチームが一瞬で解散になって、新しいチームが始まってなかなか勝てなくて…凄く苦しい時期を知っている身として、もう一度繰り返しちゃいけないという思いは凄く強かった。私自身は女子サッカーの未来のためにも絶対勝たなきゃいけないなと感じていた。それもみんなに伝えましたし、そういった形で試合には臨みました。本当に勝って良かったです。本当に」

 ――今後、成長させたいのは。

 「もっともっと自分たちの形、プレースタイルを確立していく。3-4-3システムが自分たちの一つの形かもしれないですけど、その中で相手によって4-1-4-1だったり、4-2-3-1だったり…自分たちがピッチの中で変えながら、戦い方を変えることがもう少しできれば。オリンピックも短期決戦。そういった意味で本当のチーム力になっていくのかなと。そこのレベルアップは絶対に必要だと思います。まだまだ世界で勝つには足りないとは思いますけど、ひとまず世界で戦うチャンスを得られたことは良かったなと思ってます」

 ――世界一経験者として今回のパリ五輪の位置づけは。

 「今日の試合を経てというより、去年のW杯から金メダルを狙って、金メダルを目指して戦っていて、決してその可能性がなかったわけではない。実際、戦っていて思った。ただ、あと一歩何かが足りなかったというのは結果とともに事実ではある。もちろんポテンシャルは十分にあると思いますが、オリンピックは出場チームも少ないので大会レギュレーションとか感じがちょっと違ってくるのですけど、そういったところも自分たちのアドバンテージにしながら戦っていければ、金メダルの可能性、ポテンシャルは必ずあると思う。皆で金を目指してやっていきたい」

 ――W杯の経験が生きた。

 「生きたと思っています。初戦で引き分けたのがデカかった。正直、やっている方も初戦はうまくいったとは思ってなくて。でも我慢する時間もあった中でゼロで抑えて。今日は0―0でシンプルに試合に入れたのも大きい。移動もあって2日しかなかったけど、長いことやってなかった3バックに変えても、相手の戦い方を見て1戦目からの修正ができるのは自分たちの強み。2回戦える試合は本大会ではないので、90分の中で、ピッチの中で変えていけるようになっていくことが今後戦っていく上で重要になる」

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