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異国の代表監督が米国の敵国分析で一役 異例の“師弟タッグ”

[ 2014年6月24日 09:10 ]

米国のクリンスマン監督(AP)

W杯ブラジル大会1次リーグG組 米国2―2ポルトガル

(6月22日 マナウス)
 今季スペインを制したアトレチコ・マドリードのユニホームの胸スポンサーは旧ソ連の「アゼルバイジャン」。オイルマネーで潤う同国政府が観光をPRするため年間1200万ユーロ(約16億6500万円)で契約したと言われる。同国は代表チームの強化にも努めており、08年に元ドイツ代表監督のベルティ・フォクツ氏を招へい。現在のFIFAランクは83位だ。

 そのフォクツ氏は今年3月、アゼルバイジャン監督との兼任でクリンスマン米国監督の特別アドバイザーに就任した。同監督はフォクツ氏がドイツ代表を率いてW杯に出場した94、98年大会のエースFW。一国の代表監督が他国の代表を手助けすること自体異例だが、「人生の師であり、膨大な知識と経験に裏打ちされた分析力は我々にとって大きい」というクリンスマン監督の要請で“師弟タッグ”が実現した。

 「自分はコーチじゃない。クリンスマンから特別に頼まれたら答えるだけ」と言うフォクツ氏が任されたのは、米国のW杯対戦国の分析だった。同氏はナイジェリアの監督だった経験からガーナについての知識があり、アゼルバイジャンがW杯欧州予選で同組だったポルトガルの戦いぶりも熟知している。5月27日にはアゼルバイジャン監督として米国の壮行試合の相手を務め、欧州へ飛んでガーナ―オランダ戦、ドイツ―カメルーン戦を視察。さらに米国へ渡ってポルトガル―メキシコ戦、ガーナ―韓国戦視察と精力的に動き回った。

 どんなアドバイスがあったかは2人だけが知るところだが、米国は2試合とも内容で上回っており、2人の母国ドイツに挑戦する第3戦も期待十分。一方でフォクツ氏はW杯期間中、16年欧州選手権予選で同組のイタリアとクロアチアも視察するなど代表監督としての仕事も忘れていない。

 ◆ベルティ・フォクツ 1946年12月30日、ドイツ西部カールスト生まれの67歳。現役時代は粘り強さが武器の右サイドバックでボルシアMG時代はブンデスリーガ優勝5回、UEFA杯優勝2回。西ドイツ代表では3度W杯に出場して74年西ドイツ大会で優勝した。90~98年にドイツ代表、00~01年にレバークーゼン、01~02年にクウェート代表、02~04年にスコットランド代表、07~08年にナイジェリア代表を率いた。

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2014年6月24日のニュース