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方向性が不明確な横浜 監督交代劇 フロントの責任も重い

[ 2012年1月1日 07:51 ]

京都に敗れ、無念の表情で引き揚げる横浜・木村監督

 天皇杯準決勝でJ2京都に敗れると、横浜は現役時代に“ミスター・マリノス”と呼ばれた木村監督の契約を解除した。「来年、面白いサッカーをして2013年を集大成に、と思っていたのに。本当にこのチームと縁がなかったのかな」と複数年契約を2年残しての幕引きに、木村監督は悔しさを隠せなかった。

 今季は複数の主力選手が「どういうサッカーをしたいのか分からない」と不満を漏らしていた。就任1年目の昨季は攻撃的な戦術を採用し、順位は8位だったものの魅力的なサッカーを見せていた。

 今季は一転、堅守速攻をチーム戦術として、前半戦は接戦をものにし首位で折り返した。だが、その後の成績は下降線。再三中盤の配置転換などを試みたが、立て直せなかった。好結果を求め、迷走した感があったのは事実で、「結果にこだわりすぎて、ワシらしい(攻撃的な)サッカーが一つもできなかった」と本人も認めている。

 ある選手は「実質的にチームを動かしていたのは(コーチの)樋口さん」とも言う。嘉悦社長は後任監督に「課題を解消し、よかった部分を継続してほしい」と注文した。しかし、樋口新監督は「自分たちがボールを持って、常にイニシアチブを握れるようなスタイルを確立したい」と木村監督の1年目と似た方向性を打ち出した。

 好結果を求めるのか、理想を追求して基盤をつくるのか。方向性が不明確なまま、人事だけを断行した印象が否めない。強化担当を含めたフロントの責任も重いだろう。

 アジア・チャンピオンズリーグ(ACL)出場権を逃した場合は辞任する意向を示していた嘉悦社長が、「いろんな方から“ここで辞めたら責任放棄”と言われた」と自らの役員報酬の半額カットでケジメをつけて続投を明言したことに、サポーターはどう感じたのだろうか。

 名門復活への道のりは険しそうだ。

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2012年1月1日のニュース