×

茨城に届け!鹿島学園 双子の弟・西谷和「完璧」ボレー

[ 2012年1月1日 06:00 ]

<鹿島学園・日章学園>後半、鹿島学園・西谷優(8)がボールキープし、西谷和(10)が走り出す

全国高校サッカー選手権第2日 鹿島学園2-1日章学園

(12月31日 西が丘)
 全国高校サッカー選手権1回戦、東日本大震災で被災した茨城の鹿島学園は、FW西谷和希(3年)の決勝弾などで2―1と日章学園(宮崎)に競り勝った。

 骨折の完治していない右足を迷わず振り抜いた。同点の前半32分。鹿島学園の双子の西谷兄弟の弟、FWの西谷和は、MF海老原が右サイドから中央に放り込んだクロスにダイレクトで合わせた。チームメートと茨城県民の思いを乗せた強烈なボレーは、ゴール右隅に吸い込まれた。

 「サイドからのボールをボレーで完璧に決めたのは試合では初めてです。茨城県代表として、県民の方を元気づける試合を見せたかった。みんなの気持ちがゴールにつながったと思います」

 全国大会までの道のりは決して平たんではなかった。昨年3月11日に発生した東日本大震災の影響で、グラウンドが陥没して使用できなくなった。代わりに、学校と同じ鹿嶋市内にある卜伝(ぼくでん)の郷運動公園や多目的スポーツ施設「鹿島ハイツスポーツプラザ」を利用。しかし、使用料金、移動時間がかかるため、震災前は4時間以上確保していた練習時間を1時間以上削らざるを得なくなった。

 さらに、西谷和自身はケガで出場が危ぶまれた。昨年11月13日に行われた茨城県大会の決勝で右足中足骨を疲労骨折し、全治3カ月と診断された。高圧酸素カプセルで回復を早め、この日も試合前に痛み止めを服用。医師からは「プレーできるのは20分が限度」と言われたが、痛めている右足で決勝ゴールを決めて後半20分まで走り続けた。「もっと先まで勝ち進んで、茨城の方に明るいニュースを届けたい」と西谷和。茨城県民の願いは故障の癒えない右足に託されている。

続きを表示

この記事のフォト

2012年1月1日のニュース