×

「思うようにやったら」妻の一言が救いに

[ 2008年8月7日 06:00 ]

インタビューに答える鹿島

 「パキッ」という乾いた音とともに折れたのは、左手だけではなかった。最大目標の北京五輪まで1年を切っていた07年8月23日、シュツットガルト世界選手権開幕を控えた現地での直前合宿。練習中に負った左手甲の骨折で、鹿島の心が折れた。脳裏を支配する「何をやってるんや、オレは」という自責の念と「引退」の2文字。入院、手術、退院、リハビリ…。復帰への階段を上っても、一向に心は晴れなかった。

 季節の移り変わりを感じる余裕もないまま、カレンダーは10月7日を指していた。06年5月に結婚した1つ年下の愛妻は、そんな夫の苦悩を見逃さない。夕食後、何げない会話の中で彼女は言った。「思うようにやったらいいやん」――。ドイツで骨折してから45日。ようやく霧が晴れた。開けた視界には、うっすらと北京が映っていた。

続きを表示

2008年8月7日のニュース