【ケンタッキーダービー】武豊21年ぶり日本馬挑戦“ラニの本気見せる”

[ 2016年5月5日 05:30 ]

21年ぶりの参戦に意欲を見せる武豊

 米国のクラシック1冠目となるケンタッキーダービー(ダート10F)が、日本時間8日の早朝に行われ、日本馬として21年ぶりにラニ(牡3=松永幹)が参戦する。21年前に聖地チャーチルダウンズ競馬場で同ダービーに騎乗した経験がある武豊は、出国を前に本紙に意気込みを語った。

 ――21年前にスキーキャプテンで騎乗して以来となるが?

 フランスの凱旋門賞は今では毎年のように日本馬が遠征するけど、ケンタッキーダービーは21年ぶり。この歴史の事実には、身が引き締まる思いで光栄。ダートの本場に挑む決断をしたオーナーとトレーナーに感謝しています。

 ――ラニの挑戦。まずは経緯から。

 UAEダービー前に視点を戻せば、胸を張って海外遠征に挑むという成績じゃなかった。プランがなくて普通なのに、2歳暮れからオーナーと厩舎サイドには遠征しようというプランがあった。そこが凄い。ラニの正真正銘の正体はまだ誰にも分からない。

 ――というと?

 潜在能力、に尽きる。それを感じているからこそのトライ。だって一度もMAXの力を発揮していないし、僕がラニに“おまえ、本気出した!?”と唯一、感じたのもUAEダービーのゴール前1回だけ。能力がないとあの勝負根性も発揮できない。

 ――1週前追い切りに乗った時の様子や雰囲気は。

 吠えまくってた。馬っ気が凄かった。自分以外の馬が嫌いなのか、威嚇しようとしているのか…。チャーチルダウンズ競馬場の関係者は当然として、すでに西海岸や東海岸の競馬関係者やメディアにも評判になっているそうです。

 ――その気性は本番でマイナスに働かないのか。

 プラス、ではないでしょう。フルゲート20頭。吠えるわ、馬っ気出すわ、のラニが、どんな精神状態となるかは悩みの種。ドバイでは主催者側が馬場入場で配慮してくれたけど、ケンタッキーダービーではそれは望めない。無事にゲートインするまでがひと仕事です。

 ――意気込みを。

 米国はダートが主流なので例年はほぼ米国一色で日本馬は完全アウェーの立場。でも、どこか好意的な視線も感じるんですよ。理由は明白。ラニが米国No・1の種牡馬タピット産駒で、ケンタッキーで誕生した馬だからです。米国のダービーに挑戦しようとする日本馬がいることに、読者の皆さんが関心を示してくれれば幸いです。

 ◇米国クラシック3冠の第1戦。米国の数あるビッグレースの中でも最高峰のイベントとされており、ブリーダーズカップをしのぐ視聴率や観客数を誇る。1875年の第1回から、戦争などで中断されたことは一度もない。07年にはエリザベス女王が観戦に訪れている。

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2016年5月5日のニュース