藤井聡太7冠 圧倒的勝率の先手で敗北「早くも厳しい状況に」 王座戦第1局、150手死闘も

[ 2023年9月1日 04:40 ]

<王座戦第1局>悔しそうな表情の藤井王将(撮影・尾崎 有希)
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 将棋の第71期王座戦(日本経済新聞社主催)5番勝負は31日、神奈川県秦野市の「元湯陣屋」で第1局が指され、史上初の全8冠制覇を狙う挑戦者・藤井聡太王将(21)=竜王、名人、王位、叡王、棋王、棋聖含む7冠=は永瀬拓矢王座(30)に150手で敗れた。藤井は振り駒で得意の先手番を得たにもかかわらず、痛い黒星発進。4連覇中の永瀬は名誉王座の資格獲得まで2勝と迫った。第2局は9月12日に神戸市で行われる。

 陣屋の“事件簿”に新たな1ページが書き加えられた。戦前まで63勝8敗の勝率・887。藤井がとりわけ得意とする先手角換わりを受け止められ、敗れた。指し手が130手台に突入すると天を仰ぐしぐさが増え、負けを受け入れるのに苦心するさまが明らか。永瀬の150手目にお茶を口に含み、藤井が投了を告げた。

 「互いに王の薄い形で戦いになって、どうバランスを取るのか難しい将棋だった。角を切ってと金をつくりにいったが、攻め駒が少ない。良い指し手ではなかった気がします」

 盤面中央での押し引きを繰り返した63手目、藤井が突如踏み込んだ。23分の考慮で角金交換を決断。大駒を手放す反動も承知の決断で、自身の読みへの確信と見えた。

 さらに手にした金を永瀬陣へ打ち付ける。と金をつくって王手をかけ、先手好調を印象づけたが、当人の実感は違った。足の速い大駒を欠いた攻めは次第にスピード感まで失った。指し手が3桁に入るころから藤井が攻め、永瀬が守る展開が続いたが、ついに矛は盾を突き崩せなかった。

 先手番ではタイトル戦9連勝中だったがストップした。黒星は3月、渡辺明九段(39)から3勝1敗で棋王位を奪った5番勝負第3局以来。加えて、昨年6月の棋聖戦5番勝負に続いて永瀬とのタイトル戦第1局を落とした。

 2度の千日手の末、敗れた前回。特に最初の千日手では勝率上、若干有利な先手だったが局面の見通しの厳しさからその利を手放し、指し直しを選んだ。

 5番勝負と7番勝負があるタイトル戦の1勝の重みは当然、5番勝負にある。「全体的に永瀬王座の作戦にこちらが対応できていない。昨年棋聖戦の経験を踏まえて、成長したところを見せられたら」。前日会見で繰り返した教訓を生かせなかった。

 「早くも厳しい状況になってしまった。できる限り良い状態で臨んで、熱戦にできればと思う」

 ショックは言葉の端々に映る。救いを求めるならその昨年棋聖戦だろうか。第2局以降3連勝して防衛した。落とせばもうカド番となる12日の第2局までの中11日で、立て直しを図る。

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