「日本沈没」天海・小栗旬VS世良教授・國村隼の舞台裏 チーフ演出「2人の別れに」正論から湧く感情

[ 2021年10月17日 22:09 ]

日曜劇場「日本沈没―希望のひと―」第2話。袂を分かつ天海(小栗旬)と世良教授(國村隼・右)(C)TBS
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 俳優の小栗旬(38)が主演を務めるTBS日曜劇場「日本沈没―希望のひと―」(日曜後9・00)は17日、第2話が放送された。今回のヤマ場は小栗と名脇役・國村隼(68)の演技バトル。チーフ演出の平野俊一監督(49)に撮影の舞台裏を聞いた。

 <※以下、ネタバレ有>

 小栗が2010年10月期「獣医ドリトル」以来11年ぶりに同局の看板枠・日曜劇場に主演。1973年に刊行された小松左京による不朽の同名名作SF小説を原作に、当時も扱われた題材「環境問題」を2021年バージョンとして鮮明に描く。原作に大きくアレンジを加え、舞台は2023年の東京。国家の危機に瀕してなお、一筋の希望の光を見いだそうとひた走る究極の人間ドラマがオリジナルのキャラクター&ストーリーとして展開される。

 脚本は「華麗なる一族」「獣医ドリトル」「LEADERS リーダーズ」などの橋本裕志氏。チーフ演出は「インハンド」「ノーサイド・ゲーム」「TOKYO MER~走る緊急救命室~」などの平野監督。撮影は今年春に終了した。

 第2話は、田所博士(香川照之)が関東沈没の前兆と予測した日之島水没により、環境省の天海啓示(小栗)は日本未来推進会議で早急な対策の必要性を訴える。しかし、地球物理学の最高権威・世良教授(國村)はただの地滑りと真っ向から否定し、東山総理(仲村トオル)と共に会見を開き、説明。納得がいかない天海だったが、環境ビジネス詐欺の疑いがある企業「Dプランズ」と環境省の癒着疑惑の黒幕は天海だとする記事が週刊誌に掲載され、謹慎処分となる。内外に追い込まれていく天海と田所。国民を守るための“逆転の一手”は?…という展開。

 世良による「第二首都選定に関する検証結果報告」。生島自動車の生島会長(風間杜夫)に海上保安庁長官を紹介してほしいと願い出た天海は、深海調査艇「わだつみ6500」によるデータの書き換えが行われていたと指摘。アクセス履歴によると、データを改竄したのは「わだつみ」に同乗した国交省の安藤(高橋努)だった。安藤は「私の指示は、総理の指示だ。そう言われて…」と観念。世良は「私は、総理から日本のために力を尽くせと頼まれ、それを忠実に全うしただけです」と切り出し、真意を説明したが、天海は「ですが、世良教授。あなたは田所博士を貶めるために、偽りのデータを持ち出した者は学者を名乗る資格もないとおっしゃいましたよね。そのあなたがデータ偽装を指示したんです。学者の資格を自ら放棄したも同然なんじゃありませんか。あなたほどの人が、どうして正々堂々データと向き合わなかったんですか」。世良は「天海くん、2人で話せないか」と会議室を出た。

 世良「君に寝首をかかれるとは思ってもみなかったよ」

 天海「僕だって、世良さんがそんなことするとは思いたくなかったです」

 世良「ずっと邪魔だったんだよ、田所くんが。私がどれだけ努力しても、彼はいつもその上を行ってしまう。だから、彼が環境問題に傾倒して日本を離れた時には、小躍りしたい気分だったよ。ようやく地球物理学界の第一人者になれるって。君が余計なことを掘り起こすまではね」

 天海「本当のところを教えてください。世良さんは、関東沈没の信憑性はどのくらいあるとお考えですか?」

 世良「私が見てきたデータで判断するなら、確率は1割程度だ。いいか、たったの1割だ。沈まない確率が9割もある。それをわざわざこんな大ごとにして。この先どういうことになるのか、分かってるのか。君たちは起こるはずのない関東沈没に怯え、やる必要もない危機対策に奔走し、挙げ句に首都経済を停滞させるんだ。日本未来推進会議が日本の未来をつぶすことになるんだよ!それが望みか、あ!本当にそれでいいのか!もう、好きにしろ」

 そして、田所は天海と東山総理らの元を訪れ、遅くとも1年以内に関東沈没が始まると明かした。

 平野監督は「世良の発言は『何を言っているんだよ、あんた』という意見の一方で、もの凄く板挟みになっているところも分かるので『そうか…』と思ってしまうところもありますよね。日本未来推進会議の会議室では教授・世良としてみんなの前でいましたが、天海と2人きりになってからは私人・世良。『ずっと邪魔だったんだよ、田所くんが』と本音を漏らします。ある意味で、このシーンは『天海と世良の“別れ”にしましょう』と小栗さん、國村さんと話していました。正論対正論の中で、悲しさや苦しさ、あるいは悔しさ…いろいろな感情がぶつかり合ったシーンです。天海と世良はお互いを信じ合っているとも思えます。この不都合な沈没さえなかったら、お互いがそのまま日本のために力を尽くしてタッグを組んでいたのかもしれないのに、袂を分かつことになる。その悲しみ、つらさが出るといいなと、ずっと思っていました。2人のバトルのようなシーンでありながらも、とても悲しいこと、つらいことだなと感じていただけるんじゃないかなと」と演出の狙いを説明。

 「このシーンの全体を通して、台詞を強く言うのか、静かに言うのか。國村さんとディスカッションをしました。最後の天海への『本当にそれでいいのか!』に関しては『最後はぶつけて去ってほしい』と話し合って決めたこと。天海に向かって言っているのと同時に、実は自分に向けても問い掛けたんだと思うんですよね。『それでよかったのか』と。2人には感情の台詞が全くないのに、ひしひしと感情が伝わってくるのは流石だなと思いました」と2人の静かなる熱演を絶賛した。

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