森七菜 朝ドラ「エール」の宝物

[ 2020年10月20日 10:00 ]

NHKテレビ小説「エール」で、梅を演じる森七菜(C)NHK
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 【牧 元一の孤人焦点】NHK連続テレビ小説「エール」で、ヒロイン・音(二階堂ふみ)の妹・梅を演じている女優の森七菜(19)に話を聞いた。

 梅の外見の特徴は黒縁眼鏡。映画「ラストレター」で透明感のある少女を演じていた女優と思わないほど雰囲気が違う。

 「あの眼鏡をかけると、スイッチが入ります。一度撮影から離れて久しぶりに撮影した時、『私、梅になれるかな?』と心配したんですけど、眼鏡をかけた瞬間に『アイ・アム・ウメ!』でした。眼鏡を動かすしぐさで梅の気持ちを表すこともできます。あの眼鏡にはすごく助けられました」

 まるで黒縁眼鏡が特撮ドラマ「ウルトラセブン」の変身アイテム「ウルトラアイ」であるかのようだが、実は私生活に影響を及ぼしていた。

 「プライベートで黒縁眼鏡をつけるのが恥ずかしくなっちゃいました。もともと黒縁を持ってたんですけど、周りから『梅ちゃんだね~』と言われるかもしれないので『やめておこうか』と…。金縁に変えました」

 梅は、芯の強い女性。子供の頃から文学好きで、成長して文芸雑誌の新人賞を受賞し、作家デビュー。一度は上京したものの、故郷の大切さに気づいて地元に戻った。

 「自分とは違うキャラなので、『梅ならこうするかな?』と考えながら演じました。芯がしっかりしている子だから、あまり余計な動きはしないように、スマートに見えるようにしました。でも、お姉ちゃんたち(松井玲奈が演じる長姉・吟、二階堂が演じる音)のやりとりが面白かったので、ちょっと笑っちゃったりもしました(笑い)。それはそれで梅なのかなと思いましたけど」

 制作統括の土屋勝裕チーフ・プロデューサーは森が演じる梅の魅力について「ツンデレな感じ」と指摘するが、本人との類似性はあるのだろうか。

 「私自身はツンデレじゃないと思います(笑い)。私は人に対して、駆け引きせずに素直に向き合いたいと思ってます。梅もそんな感じなので、その部分に関しては、演じているうちに固めてもらった気がします」

 梅と結婚した五郎(岡部大)が主人公の裕一(窪田正孝)に弟子入りした時のエピソード(9月放送)では名場面が生まれた。梅は裕一の家で五郎と同居するうちに、その人柄にひかれるようになり、やがて、それが恋心であることを知るが、作曲の才能がないことを自覚した五郎は家を出て行くことになった。玄関先で無言のまま見送る梅。その時、期せずして瞳からあふれ出た涙が、この上なく切なく、美しく映った。

 「私もあの時はびっくりしました。恋をして、それがなくなってしまう瞬間に涙が出るというのは、どういうことなんだろうと思う時があります。それを知らない私が、あのシーンで、本当に梅の全てを伝えることができるのだろうかと心配してたんです。あれは完全に五郎さんに引き出してもらった感情でした。あのシーンで、確かに梅は五郎さんに恋をしていたんだなあと思いました」

 あの美しい涙は、深く感情移入して梅を演じてきた結晶に違いない。撮影後、二階堂に「すてきだったよ」と声をかけられたという。

 「すごくうれしかったです。不安だったシーンを、あこがれの女優さんにほめてもらって『あしたからも頑張ろう』と思いました。あのシーンは宝物です」

 そう真摯(しんし)に語る女優・森七菜こそ、「エール」の宝物だ。

 ◇森 七菜(もり・なな)2001年(平13)8月31日生まれ、大分県出身の19歳。19年公開のアニメ映画「天気の子」(監督新海誠)のヒロインの声を担当。今年1月公開の映画「ラストレター」(監督岩井俊二)に一人二役で出演し、主題歌「カエルノウタ」も歌って歌手デビュー。10月20日スタートのTBS系「この恋あたためますか」(火曜後10・00)で連続ドラマ初主演。

 ◆牧 元一(まき・もとかず) 編集局デジタル編集部専門委員。芸能取材歴約30年。現在は主にテレビやラジオを担当。
 

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